
(【1月29日 Newsweek】 胸にTM-62対戦車地雷のように見える爆発物を巻き付けた若いアフリカ人兵士 動画では銃口を突き付けられ無理やり外に走らされているように見えます。)
【兵士の命を顧みない戦術で膨れ上がる死傷者】
ウクライナにおいて物量に勝るロシアは、物量だけでなくロシアの伝統的戦術とも評される兵士の命を顧みないような強引な攻勢でウクライナ側に圧量をかけています。結果、ロシア側の兵士の犠牲は「第2次大戦後の戦争でこれほどの死傷者を出した主要国はほかにない」という膨大なレベルに達しています。
****ロシア軍の死傷者120万人 米研究所、消耗戦で両軍被害甚大****
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は27日公表した報告書で、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月から25年末までのロシア軍の死傷者(行方不明者を含む)が、計約120万人に上ったとの推計を発表した。うち戦死者は約27万5千〜32万5千人とした。ウクライナ軍の死傷者は約50万〜60万人で、うち戦死者は10万〜14万人。
ロシア軍が消耗戦を展開し、両軍に膨大な犠牲が出ている。両軍の死傷者の合計は最大180万人に上り、現在のペースで推移すれば26年春には約200万人を記録する可能性がある。
報告書は、第2次世界大戦後に起きた主要な戦争とも比較。米軍の戦死者数は朝鮮戦争で約5万4千人、ベトナム戦争で約4万7千人だったとし、ロシアについて「第2次大戦後の戦争でこれほどの死傷者を出した主要国はほかにない」と指摘した。
ロシア軍の死傷者は23年は約25万人だったのに対し、24年に約43万人、25年に約42万人と増加した。【1月28日 共同】
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【ロシア当局 戦争の影響が社会不安を惹起しないように“敏感”にも】
長期戦・消耗戦となると、単に戦場での戦いだけでなく、いかに社会的に戦争遂行を維持できるかも重要なポイントとなります。特に、国土防衛の総力戦を戦うウクライナと異なり、ロシアの場合、国民が強く望んでいる訳ではない“プーチンの戦争”を続けるためには国民に戦争のマイナス面を出来るだけ意に識させない配慮が必要になります。
その点で、上記の膨大な犠牲者はプーチン大統領にとって大きな問題となりますが、生きて戦場から帰還してもその後の生活が成り立たないと社会不安を惹起します。
政権側は、そうした社会不安を起こさないように敏感になっているようです。
****「25万人失業中」を検閲か 帰還兵巡りロシア当局と報道****
ロシア独立系メディア「ファリデイリー」は26日、ウクライナ侵攻を巡る大統領府高官の発言を伝えた国営ロシア通信の記事が修正されたと報じた。高官は「前線から帰還した25万人が就職できていない」と発言したとされたが、「数万人」に差し替えられた。ファリデイリーによると「上からの電話」があったといい、事実上の検閲とみられる。
発言したのは大統領府のノビコフ公共計画局長。ロシア通信は「特別軍事作戦の退役者約25万人が失業中とノビコフ氏発言」との見出しで記事を配信した。
政府関係者はファリデイリーの取材に「25万人はおよその数字だが正確。ネガティブなため削除を決めた」と証言した。【1月28日 共同】
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【影の船団「70%稼働」 ロシア兵器を支える西側諸国制の部品】
冒頭記事で“ロシア軍が消耗戦を展開し”とありますが、一気にキーウまで後略できると確信して侵攻したはずのプーチン大統領にとっては、この“消耗戦”に引きづり込まれているのは大誤算でしょう。
ロシアの消耗戦を支えるのが石油・ガス輸出の収入であり、そこを断つべく課される欧米の制裁をかいくぐる“影の船団”の存在です。
*****ロシア・影の船団「70%稼働」 ウクライナ、制裁強化を要求****
ウクライナのブラシウク大統領顧問(制裁政策担当)は28日、ウクライナ侵攻を続けるロシアが制裁逃れに利用しているタンカーや貨物船など「影の船団」について、現在も約70%が稼働を継続しているとの見方を示した。対ロ圧力が不十分だとして制裁強化を求めた。制裁協議のため訪問したドイツの首都ベルリンで記者団に語った。
ウクライナ攻撃に使用されるミサイルに「少なくとも100個の西側諸国制の部品が含まれる」とも述べ、ロシアへの部品の流出を阻止する必要があると強調。ロシアの郵便業者のドイツ子会社が制裁対象の電子部品を小包に入れ、ロシア国内にトラックで運んでいるとの報道について「事実を確認済みだ」としてドイツ側に対応を求めた。
ブラシウク氏は影の船団について、欧州連合(EU)は約600隻を制裁対象にしたが「操業を停止した船舶はせいぜい30%程度だ。これは望ましくない」と訴えた。「制裁の効果を確実に発揮させる必要がある」として、船長なども制裁対象に加えるよう求めた。【1月29日 共同】
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30%が操業停止になっているということは小さい影響ではないですが、ウクライナとしては「もっと・・」といったところです。これが50%、半減といった数字になれば、ロシアにとって大きな打撃となるような印象も感じます。
また、日本を含めた西側諸国制の部品がロシアの兵器に使用されているというのは以前から指摘されている問題です。
ロシアも“ロシア単独”で戦っている訳でなく、と言うより“ロシア単独では戦えない”ので、利用できるものは最大限に利用して戦争を続けています。
【「中国経済へのアクセスや中国からの製品や技術の流通がなければ、ロシアが戦争を継続するのは困難だった」】
経済取引面でロシアを支える最大の支援国が中国。
表立っては中立を標榜する中国ですが、実際は経済取引だけでなく水面下でロシアを支援していることは周知のところ。もちろん表だっての武器輸出はないものの、実質的にそれに近いものの。
****ロシア軍需工場に中国製工作機械、極超音速ミサイル「オレシュニク」製造などで提供か…無人機生産を支えている可能性も****
英紙デイリー・テレグラフ(電子版)は28日、中国が、極超音速で飛行するロシアの新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」の製造に必要な工作機械などをロシアに提供していると報じた。中国からロシアに供給された工作機械などの先端機器や、精密誘導兵器に必要な部品は、総額103億ドル(約1兆6000億円)になると推定している。
同紙によると、ウクライナの情報機関が、露中部ウドムルト共和国の軍需工場で、高精度の金属加工に使用される中国製の旋盤装置を確認した。この工場では、オレシュニクや大陸間弾道ミサイル(ICBM)「トーポリM」などが製造されているという。
中国製旋盤は、露中部タタルスタン共和国エラブガの工場の無人機生産も支えている。同紙は「中国経済へのアクセスや中国からの製品や技術の流通がなければ、ロシアが(ウクライナに対する)戦争を継続するのは困難だった」との軍事専門家の見方を紹介した。
プーチン政権はオレシュニクについて、核弾頭が搭載可能で迎撃は「不可能」と主張する。実戦では欧米への威嚇やウクライナに対する報復を目的に2024年11月と今月の計2回使われた。いずれも模擬弾頭だったとみられている。【1月29日 読売】
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【イランの技術支援でロシアドローン急成長 ウクライナインフラを脅かし長期戦を可能に】
開戦当初からロシアをドローンで支えてきたのがイラン。
ドローン使用では当初ウクライナ側が優位にありましたが、イランの技術支援で現在ではロシアがウクライナを凌駕するようになっており、ロシアドローンを防ぎきれないウクライナの産業・生活インフラに多大な被害をもたらしています。
****素人だったロシアのドローン戦力がイランの支援で急成長、ウクライナを圧倒か****
<ウクライナに堕ちたロシアのドローンの残骸に新型高速ドローンの痕跡が見つかった。イランは技術支援だけでなくドローンの現地生産まで支援している>
ロシアの地上部隊が消耗戦で膠着する中、ロシア政府はイラン製ドローンによる空からの優位性を強化しようとしている。 2026年1月初旬、ウクライナで発見されたドローンの残骸には、ロシアが配備を進める新型高速ドローンの痕跡があった。
ウクライナ大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーは1月22日にダボスで開催された世界経済フォーラムでこう懸念を表明した。「我々は1日約1000機のドローンを生産している。本当に生産しているが、それでも足りない。まったく足りない」
ウクライナの情報機関によれば、ロシアも近く1日1000機のドローンを生産する体制に入る見込みで、その多くはイランによる技術支援によるものとされる。 イランの支援でドローン戦力を急拡大させたロシアが、ウクライナの防空網を疲弊させつつインフラを継続攻撃。膠着状態の戦況を有利に進める足がかりとなりつつある。
ウクライナが最も懸念するのは、ロシアが長距離攻撃用ドローンの生産を強化し、ウクライナ国内の標的に大規模な攻撃を仕掛けている点だ。
イランがロシアに長距離・自爆型ドローンを多数供給しているのは以前から知られていた。あまり知られていないのは、イランがロシアに対し、自国でドローンを製造するノウハウまで教えているという事実だ。
CIAで兵器技術と拡散防止を担当したある幹部の見解でも、イランからの技術導入でロシアは高度なドローン群を開発できるようになり、ウクライナの防空網を弱体化させ、国としての持久力を奪っている。
その結果、ロシアは高価な精密ミサイルを温存し、より重要な標的への攻撃に集中できるようになっているという。(中略)
利害が一致する両国
協力する側のイランも大きな恩恵を受けている。制裁による経済的苦境にあえぐ中、ドローンと生産施設に関する契約により、10億〜17億5000万ドルの収入を得ると見られている。報道によれば、ロシアは一部を金で支払っている。
イランは自国経済の事情から、今後もしばらくロシアへの支援を止める可能性は低い。ゲラン2の改良や新型開発に関与することは、イラン自身が新型ドローンを製造・運用する上でも軍事的な利点がある。
だが、この関係でもっとも得をしているのはロシアだ。イランの支援がなければ、ロシアは戦場での選択肢がさらに限られていたはずだ。低コストのドローンは、ロシアが高価な精密ミサイルを温存し、ドローンの大群でウクライナの重要インフラを攻撃する戦略を可能にしている。
そして地上戦で大きな進展が見込めない中、戦争が5年目に突入しようとする今、この戦略はより重要になっている。【1月29日 Newsweek】
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【アフリカから詐欺まがいの方法で兵士補充 戦場では「外道行為」】
上記の中国・イランのロシア支援は、ウクライナ及びその支援国にとっては許されない行為ですが、ロシアや中国・イランからすれば自国の置かれた状況を考えたうえでの適正な判断・・・なのでしょう。
しかし、下記の兵士補充のためのアフリカからの詐欺まがいの人員集めは「犯罪」です。単に集める方法が詐欺まがいだけでなく、戦場に送り込んだあとの扱いも「外道」です。
****ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態****
<高報酬の求人にだまされて気が付けば前線に...。手口は人身売買同然だ>
軍事経験のないアフリカ人が「仕事」を約束されてロシアに誘い込まれ、数日間の基礎的な訓練だけでウクライナとの戦闘の前線に送られている。その数は推計で数百人に上るとみられる。
先日、ある動画がネットで拡散された。胸に爆発物を巻き付けた若いアフリカ人兵士(フランシスと名乗っている)が銃口を突き付けられ、ウクライナ軍の防空壕に向かって走らされているように見える。爆発物はTM-62対戦車地雷のようだ。
ロシア語を話す男が「びびってんのか? もらすなよ」と怒鳴る。恐怖に震えるフランシスが「ノー、ノー、ノー」と叫ぶ声が聞こえる。
ロシア軍の外国人新兵の虐待や不当な扱いについては数多くの報告があると、アメリカのシンクタンク、戦争研究所研究員のカテリーナ・ステパネンコはフォーリン・ポリシー誌に語る。「ロシア軍が外国人兵士を正面攻撃に投入することはよくある......以前は捕虜を使っていた」。また、彼らの外国人新兵の扱いには「人種差別」と「外国人嫌悪」が見て取れるという。
同じ頃に拡散された別の動画では、戦闘服を着たアフリカ人の若者たちが雪の中で歌っている。カメラの後ろにいると思われる男がロシア語で、「使い捨ての奴らが山ほどいるぞ」とあざ笑う。
ウクライナ政府の推計によると、アフリカの36カ国から1400人以上の戦闘員がロシア側で戦っている。一部は傭兵として自発的に渡航したとみられる。昨年11月にウクライナのアンドリー・シビハ外相は、彼らが同意を迫られる契約書(多くはロシア語で書かれている)は「死刑判決に署名するようなもの」だと非難した。
シンクタンクのフランス国際関係研究所の昨年12月の報告によると、アフリカ人の新兵はロシアに到着したらパスポートを没収され、要塞化された敵陣を突破するために「砲弾の餌食」として使い捨てにされる。
2024年8月に警備と農業の仕事でロシアに誘い込まれた14人のガーナ人のうち、1カ月後に生存が確認されたのはわずか3人だった。
「アフリカ大陸ではさまざまな魅力が宣伝されているかもしれないが、アフリカ人はこの戦争でミートグラインダー(肉ひき器)戦術の餌食にされるだけだ」と、ウクライナの駐南アフリカ大使オレクサンドル・シェルバはテレグラフ紙に語っている。
ゲームやアプリで接触
深刻な失業危機にあるアフリカ大陸で、若者がロシアの主な標的になっている。シンクタンクのアフロバロメーターによれば、アフリカでは1億2100万人以上の若者が失業中か非就学の状態だ。
ロシアは国内での募集や志願兵による補充が尽きかけており、ここ1年で方法が巧妙になっていると、戦争研究所のステパネンコは言う。ロシア当局は外国人志願兵を想定して市民権取得の法律を緩和。ロシア軍はゲームやチャットのアプリなどを介してアフリカ人を募集しているようだ。
新兵募集の代理店や個人のリクルーターは、アフリカ人を偽の民間の仕事で誘い、月給2000ドルを提示することもある。大半のアフリカ諸国の平均月収を大きく上回る額だ。「ロシアの一部の地域では、市民が外国人兵士の勧誘に成功すれば報酬を払うという広告が出ている」とステパネンコは言う。「ロシア人を勧誘すれば5万ルーブル、外国人なら15万ルーブルだ」
人身売買も同然の勧誘
ロシアの勧誘活動はアフリカ大陸全体に及んでいる。昨年11月に南アフリカ政府は、ウクライナ東部のドンバス地方で自国民の男性17人が身動きが取れなくなり、救助の要請を受けたと発表。「外国の軍事組織に協力する個人が、脆弱な若年層を搾取している」ことを非難した。
彼らは教育や警備の仕事を約束されてロシアに誘われ、事実上の人身売買でウクライナ前線に送られたという。12月には勧誘に関与した疑いで5人の南アフリカ人が起訴された。この事件に関連してジェイコブ・ズマ南アフリカ前大統領の娘も刑事告発され、議員を辞職している。
ケニア政府は昨年12月、ロシアの「さまざまな軍事施設で窮地に陥っている」自国民から「複数のメール」を受け取った後、少なくとも200人の男性がだまされて入隊させられたとみて調査していると発表した。
9月にケニア警察は、ロシアに連れて行かれようとしていた22人を救出した。彼らはビザや渡航などの費用として1人最大1万8000ドルを支払う約束をさせられていた。あるケニア人アスリートは、昨夏に偽の陸上競技会の渡航費を全額負担するとして、ロシアに誘い出されたという。
ロシアはアフリカ諸国だけでなく、近隣の中央アジアや南アジア、ラテンアメリカからも積極的に兵士を募集している。こうした勧誘は戦争の長期化を助長する。ステパネンコは次のように語る。「ロシアは戦場でウクライナより持ちこたえ、西側の支援が尽きるまで耐える。それがウラジーミル・プーチン大統領の勝利の理論だ」【1月29日 Newsweek】
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