lonelylika’s diary

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ

米の圧力受けるインド  プーチン大統領訪印を歓待するも、注目の石油・兵器での目立った合意はなし

プーチン大統領(左)とモディ首相(5日、インドのニューデリーで 【125日 日テレNEWS】)

 

【ロシアの戦争資金を支えるインドなどへの石油輸出 米ロに二股かけるインド】

ロシア・プーチン大統領は4日インドを訪問し、モディ首相の歓待を受けました。

 

****インド・ロシア首脳、握手し抱擁 親密アピール、会談へ****

インドのモディ首相は4日夜、首都ニューデリーに専用機で到着したロシアのプーチン大統領を空軍基地で出迎えた。両首脳は握手して抱擁後、同じ乗用車に乗り込み、親密さをアピールした。5日に会談し、エネルギーや軍事分野の協力を協議する見通し。

 

モディ氏が要人を出迎えるのは珍しい。Xに、車内で座る2人の写真と共に「両国の友好関係は双方の国民に恩恵をもたらしてきた」と投稿した。

 

プーチン氏のインド訪問は4年ぶりで2022年のウクライナ侵攻後初めて。

4日にはインドのシン国防相とロシアのベロウソフ国防相が会談。両国の企業関係者らが参加したビジネスフォーラムも4日に開かれた。【125日 共同

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両国のこれまでの親密な関係からしてモディ首相の“歓待”は当然のことですが、世界が注目していたのは会談の中身。 ロシアはウクライナでの戦争を遂行する資金を主に石油・ガス輸出で得ていますが、その中核にあるのが中国と並んでインド。

 

そのインドはこれまで格安のロシア産石油輸入で大きな利益を上げてきましたが、アメリカ・トランプ大統領の圧力が強まっています。また、インドにとってロシアは主な兵器の調達先であり、パキスタンとの衝突を常に抱えるインドにとってロシア産兵器はかかせぬものです。

 

ロシアはこれまで同様にインドを石油輸出先として確保できるのか? 米の圧力に抗してインドはこれまでのようにロシアからの石油輸入を続けるのか? 

 

兵器取引はどうなるのか? 中国の存在も関係してきます。 中国はロシアのパートナーであり、パキスタンの最大支援国です。そのパキスタンとインドは宿敵で、中国とも国境問題を抱えています。

 

****二股をかけるインド、対米通商協定とプーチン氏厚遇を両立できるのか?****

ロシアのプーチン大統領を乗せた専用機が4日にニューデリーに着陸する際、プーチン氏はインドの揺るぎないパートナーだけに用意される盛大な式典で迎えられるだろう。しかし、主催者であるインドのモディ首相は同時に、主要競争国の米国とも深い戦略的関係を維持しようと試みている。これがインド外交の二面性だ。

 

一方には、ロシアの先端戦闘機を購入する可能性や安価な石油、冷戦時代に築かれた強固な友情が存在する。その一方で、技術や貿易、投資を巡る米国との協力や、トランプ米大統領が厳しい関税を撤廃することへの期待も見え隠れする。

 

プーチン氏によるウクライナ侵攻後、インドは巨大市場とインド太平洋地域の要衝という地理的条件を活用し、米ロ両国の関心を引き付けようと試みてきた。

 

だが、ウクライナ戦争開始後初となるプーチン氏のインド訪問は、モディ氏にとって緊張をはらんだタイミングで行われる。

 

インドは現在、米政府との間で待望の通商協定を交渉中だ。インドは50%の関税を課されており、その半分はロシア産の割安な石油の購入を続けたことへの直接的な制裁と位置付けられている。

 

インド政府は最近、米国への配慮からロシア産石油の購入を削減し、米国から液化石油ガスLPG220万トンを購入することに合意した。

 

それでも、プーチン氏の訪問に当たっての議題としては、ロシアとのさらなる防衛協力が目立つ。近年のインドはパキスタンや中国との国境対立が激化しており、国を守るうえでロシア製兵器が不可欠とみなしている。

 

この点は、インドが複雑な地域情勢をどう乗り切らねばならないかを浮き彫りにする。ロシアは中国の緊密なパートナーでもあるが、その中国はパキスタンへの主要な武器供給国だ。

 

インド政府はプーチン氏を厚遇することで、欧米諸国と中国の双方に対して「選択肢がある」というシグナルを送っているーー。アショカ大学のカンティ・バジパイ客員教授(国際関係論)はそう分析する。

 

バジパイ氏はプーチン氏への厚遇について、ロシア政府が国際的に非難を浴びようとも、「インドはロシア側に付き続ける意思があるというサインだ」と説明。「石油や兵器だけにとどまらず、外交上のヘッジにもなる。インドには第3の選択肢があると米中両国に示すことで、交渉の余地が広がる」と指摘した。(中略)

 

2022年のウクライナ侵攻を巡る欧米の制裁でロシア産石油の価格が急落すると、インドは好機とみて飛びついた。好況に沸く経済を加速させ、14億人を超える人口を支えようと躍起なインドは、割安なロシア産原油の購入量を大幅に増やし、ロシアの主要取引国の一つに名を連ねるようになった。

 

欧米の非難に対し、インドは一貫して自国民と経済を守る責務があるとの主張を展開している。

インドのシンクタンク「オブザーバー・リサーチ財団(ORF)」のナンダン・ウニクリシュナン研究員は「我々には数億人の貧しい国民がいて、貧困から脱却させる必要がある。そのためには、インドはあらゆる大国と適切な関係を維持することが必要だ」と説明する。

 

しかし8月、しびれを切らしたトランプ氏はインドに50%の関税を課した。米国が被る貿易赤字だけでなく、ロシア産石油購入への制裁でもあった。

 

続けて10月には、トランプ氏がロシアの石油大手2社に対する制裁を発表し、インドの関係機関にただちに影響が広がった。貿易や精製関係の情報筋はロイター通信に対し、インドの12月の石油輸入は少なくともここ3年で最低になる見通しだと語った。(中略)

 

インド政府は対米貿易協定の大枠について現在も交渉中で、商工省の高官ラジェシュ・アガルワル氏は先週の会合で発言した際、年内の妥結を見込んでいると明らかにした。

 

もっともインドの視点からすれば、こうした動きは他のパートナーとの関係断絶のシグナルを送るものではない。ORFのウニクリシュナン氏は「米国と野心的な貿易協定を結びつつ、ロシアと実務的な関係を維持することに矛盾はない」と指摘する。(中略)

 

ウニクリシュナン氏は「特に米国との貿易協定がまだ成立していない以上、インドは慎重に対応する必要がある」と述べた。「現在のような難しい局面で、これ以上の刺激要因を持ち込みたくはないはずだ」【124日 CNN

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プーチン大統領「ロシアはエネルギーの信頼できる供給者」とアピールするも、石油・兵器で目立った成果なし】

プーチン大統領は会談後の記者発表で、「ロシアはエネルギーの信頼できる供給者であり、途切れなく供給する用意がある」とアピールしていますが、これはロシアの立場。 問題はインド側の受け止め・対応です。

 

****ロシアとインド、首脳会談で関係安定アピールプーチン氏「ロシアはエネルギーの信頼できる供給者」****

ロシアのプーチン大統領とインドのナレンドラ・モディ首相は5日、インドの首都ニューデリーで会談した。両首脳は経済分野を中心に協力を維持する姿勢を示し、2国間関係の安定をアピールした。

 

露大統領府が発表した共同声明によると、両首脳は、経済や軍事、エネルギーなど「多面的」に露印関係が強化されていると指摘し、「複雑で緊張し、不確実な地政学的状況においても、外部の圧力に耐え続けている」と強調した。

 

モディ氏は会談後の記者発表で、対露貿易の拡大に期待を表明。首脳会談に合わせて経済関連フォーラムも開かれ、モディ氏は「輸出、共同生産、共同の技術開発に向けた新たな扉が開かれるだろう」と語った。

 

ウクライナ侵略を巡り、ロシアや露産原油を輸入するインドに対して米欧からの圧力が強まる中、両首脳は2国間関係の結束強化を図ろうとしたとみられる。

 

プーチン氏は記者発表で、「ロシアはエネルギーの信頼できる供給者であり、途切れなく供給する用意がある」とロシア産原油の購入継続を呼びかけた。

 

ウクライナ侵略開始後、欧州が露産エネルギーの輸入を抑える中でインドは割安な露産原油の購入を続けており、侵略が長期化する中、ロシアにとって戦費調達のための貴重な収入源となっている。

 

ただ、インドは、米国のトランプ政権が10月、ロシアの石油大手を対象とする新たな制裁を発表したことを受け、露産原油の購入量を減らしつつある。印外務次官は今回の首脳会談で米欧の制裁について協議したと認めつつ、詳細については明言を避けた。インドは欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)交渉を進めており、欧米を刺激しないためにも、露産原油の購入拡大を表立って打ち出したくないとの事情がある。

 

一方、共同声明では、両国の軍事分野の協力について「最も重要な柱」とした。兵器の国産化を急ぐインドに対し、ロシアからの技術移転やインドでの共同生産、第三国への輸出を目指すことでも合意した。ただ、インドは中国と国境問題を巡る対立があり、露印の軍事分野での協力強化は、両国の対中関係に影響する可能性もある。【126日 読売

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インド側の反応はまだよくわかりません。ただ、今の段階で目立った話がでないということはプーチン大統領のインドへのアピールは空振りに終わったのでは・・・との見方があります。

 

****ロシアの限界、低下するインドへの影響力何も起きなかったプーチンの訪印、友達のいないインドへ日本はどう手を差し伸べるか****

 プーチン大統領が訪印した。すばらしく豪華な式典、モディ首相とプーチン大統領の親密ぶりが示された。しかし、それ以外、ほとんど何も起きなかった。 

 

インドとロシアとの間では、武器や原油の取引が起きるのではないかと注目されてきた。しかし、どちらも起きなかったのである。  あったのは、貿易関連の協定が少しで、特に北極海の開発やユーラシア大陸の貿易の促進に関するものだ。なぜ注目された武器や原油の取引には、至らなかったのだろうか。

 

ロシアの限界

今回、武器や原油の取引に至らなかったのは、インドに対するロシアの影響力が落ちていることをはっきり見せつけたと言える。  

 

インドは、ロシア製の武器を購入したいと考えていた。実際、今年5月に起きたパキスタンに対するインドの対テロ軍事作戦では、ロシア製S-400地対空ミサイルが大活躍した。 (中略)

 

インドは、S-400地対空ミサイルは、対パキスタン戦に適合した武器として、より多く購入したくなるものだったのである。  しかし、実際には、S-400地対空ミサイルは、納入が遅れている。5個大隊分の内、2個大隊分は、まだインドに到着していない。

 

2022年以降、ロシアは、毎年、「今年中に納入する」約束はしているが、25年の終わりになっても、また「来年と再来年には納入する」と約束するだけで、納入の目途が立っていない。  

 

ロシアは、ウクライナで武器を使ってしまっており、インドに輸出する分はないものと思われる。だからインドとしては、納入されない武器を購入する約束だけするわけにはいかないのである。

 

原油も買わない

同じことは、原油についても言える。今回のプーチン大統領の訪印は、インドがロシアから輸入する原油を大幅に減らしはじめたタイミングで起きた。プーチン大統領は、原油を「途切れることなく供給」し続ける用意があることを表明したが、インド側が応じなかったようだ。  

 

今、インドは、トランプ政権から、ロシアの原油を輸入しないよう圧力を受けている。そして、関税を上げられ、50%もの関税を払わされている。しかも、トランプ政権がロシアの主要な原油輸出企業にかけた制裁により、ロシアから原油を輸入しても、もうからなくなっている。  

 

だから、インドの国営石油会社は、ロシアからの原油輸入を継続するものの、インドの民間会社はロシアからの原油輸入をやめつつある状態で、インドがロシアから輸入する原油は大幅に減少する。  プーチン大統領が訪印したのは、この流れを止め、インドに原油を買ってほしいからと思われる。しかし、インドは応じなかったのである。

 

中国対策でも頼りにならない

インドにとってロシアの魅力が落ちているのは、武器と原油だけでなく、ロシアが中国に傾斜しているためでもある。

 

そもそもインドにとってロシアが重要なのは、インドから見れば中国の反対側にいるロシアが、対中国対策で役に立つと考えたからだ。(中略) だから、インドとロシアは、対中国で協力し合ってきたのである。  

 

しかし、ロシアのウクライナ侵略以降、西側の経済制裁下のロシアは、中国との貿易に依存するようになっている。今年9月に中国で行われた軍事パレードでは、中国、ロシア、北朝鮮ベラルーシ、イラン、ミャンマーといった国家の指導者が1枚の写真に写り、アメリカに対抗する極としてアピールしつつある。

 

もはや中国対策で、インドにとってロシアは、頼れる存在ではなくなった。  もしロシアのウクライナ侵略が終われば、この状況が変わるかもしれない。インドはそう期待し、ロシアの原油を買って、ロシアが中国だけに依存しないように、ロシアを買い支えてきた。しかし、トランプ政権の誕生で、どこまでロシアを支えることができるのか、インドにも限界が出つつある。

 

新しい環境に適合し始めたインド

つまり、インドは新しい環境に適合する必要が出始め、徐々に適合し始めたのである。新しい環境とは、ロシアのウクライナ侵略とトランプ政権の誕生に起因するものだ。  

 

ロシアのウクライナ侵略が起きる前は、インドは大人気だった。中国対抗しているのはインドとみられていたから、安全保障でインドは大人気だったし、グローバル経済の中でインドは新たな成長市場として着目され、グローバルに活躍する優れた人材を輩出する国としても注目されてきた。  

 

ところが、それがすべて変わりつつある。ロシアのウクライナ侵略以降、西側諸国は、インドがロシアに対して友好的中立の姿勢を見せることにいら立ってきた。そして、トランプ政権が誕生すると、グローバル経済そのものを変え始めた。  

 

トランプ政権は、これまでのグローバル経済のルールでは、中国の方がアメリカより成長し、アメリカに追いつきつつあるから、そのルールそのものを変えようとした。そして、できるだけ関税をかけないようにするグローバル経済のルールに代わって、各国に関税をかけまくる政策を採用したのである。  

 

しかも、トランプ政権は、アップルがiPhoneの生産を中国からインドへ切り替える計画にも不快感を示した。中国から工場を移すのはいいが、インドではなくアメリカへ移すべきであるという考え方である。  

 

さらに、トランプ政権は、インドからの高度な人材に対しても、受け入れのハードルを上げ始めている。アメリカで働く高度な技術を持つインド人はH-1Bビザをとって働くのだが、トランプ政権は、その取得に際し10万ドル払うようルールを変えた。今や、バンス副大統領も、妻のウーシャ氏に対しても、ヒンドゥー教から改宗してキリスト教徒になってくれたらいいと、述べるまでになっている(ただ、この場合は、妻の意見を尊重するといっていて、強い要求ではない)。  

 

インドにとって、アメリカは最大の貿易相手国だった。一時期、中国が最大の貿易相手国だったのを、モディ政権の下で、徐々にアメリカに変えてきたものでもあった。しかし今、その政策は、無理になり始めている。  つまり、インドは、長年の古い友人ロシアを頼れず、新しい友人であるアメリカも頼れず、長年の敵である中国のことはまったく信用できない。どう対応するか、戦略の転換を迫られている。  

 

しかもグローバル経済の恩恵を受けて経済を成長させる政策は、もはや、かつてのような経済成長をもたらさないかもしれない。インドの高度な人材を他国にどんどん出す政策も、どこまで可能なのか、疑問が生じつつある。

 

そこで、モディ政権は、ロシアとは笑顔で接しつつ、実質の合意はなし。アメリカとは、一定の合意ができないか、徐々にアメリカの要求を受け入れ始めているが、長期的に頼るのは無理とも考え始めてもいる。  

 

そして中国とは、笑顔で緊張をまねかないようにしつつ、いずれくるであろう緊張状態に備えるようになっている。うまくのりきって、インドの国力が増すのを待つ。新しい環境に何とか適合しようとしているのである。

 

日本にとってのインド

(後略)【1210日 WEDGE

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もっとも、もしインドが今後ロシア産石油の取引を減らす場合、ロシアのウクライナ戦争遂行能力を削ぐ効果はありますが、一方で、ロシア経済を支えているのはインドだけではないですし、また、世界の石油価格への影響も。

 

****ロシア経済を支えているのはインドだけではない****

ロシア産原油を輸入している国はインドだけではない。中国はさらに多くの原油を輸入している。トルコとアラブ首長国連邦UAE)は、ロシア産燃料の再輸出の主要拠点となっている。

 

また、ロシアが制裁を逃れて原油を輸出するのを助ける「影の船団」、つまり合法と違法のはざまで運航する無保険の老朽化した船舶も増え続けている。

 

インドは、自国の製油所でロシア産原油が処理されると、その製品は貿易法の下ではインド製となり、もはやロシア産とは見なされないとしている。EUは、多くの加盟国が依然としてこれらの精製燃料に依存していることを認識しており、この実態を黙認している。

 

専門家は、インドがロシア産原油の輸入を停止した場合、世界の燃料価格が急騰し、米ボストンから独ベルリンに至るまで、あらゆる地域の消費者に打撃を与える可能性があると警告している。

 

この価格急騰は、インドの突然の撤退により、割引価格のロシア産原油の主要な供給源がなくなることで供給が逼迫(ひっぱく)し、基準価格が押し上げられるために発生すると考えられる。この価格急騰の可能性を恐れ、西側諸国はインドに対して積極的に圧力をかけにくくなっている。(後略)【128日 「安い石油か、高い代償か ロシア産原油を巡るインドのジレンマ」 Forbes】

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