
(フィンランド北極圏のロバニエミでトナカイの引くそりに乗る人【3月27日 Forbes】)
【幸福度、フィンランドが8年連続1位 自然に容易にアクセスできることや、手厚い福祉制度】
周知のように「幸福度」なるものの国際比較を見ると、(そういう比較が可能なのか? どれだけ意味を持つのか? といった疑問はさておき)いつも上位にランキングされるのが北欧諸国で、中でも国連などの「世界幸福度報告書」で8年間トップをはっているのがフィンランドです。
****世界幸福度ランキング、フィンランドが8年連続1位****
世界各国の幸福度をランキングで示した、国連などによる「世界幸福度報告書」2025年版が(3月)20日に発表され、フィンランドが8年連続で1位となった。デンマーク、アイスランド、スウェーデンが続き、上位は北欧諸国が占めた。
専門家はフィンランドが選ばれた理由として、自然に容易にアクセスできることや、手厚い福祉制度をあげている。
フィンランドはほかの北欧諸国を抑えてトップを維持した。また、ラテンアメリカのコスタリカとメキシコが初めてトップ10入りを果たした。
イギリスとアメリカはそれぞれ、23位と24位に順位を落とした。アメリカは過去最低の順位となった。
日本は55位と、前年の51位から順位を下げた。
この調査では、見ず知らずの人は、人々が思うよりも約2倍親切であることも明らかになった。財布をわざと紛失し、戻ってきた財布の数を調べるとともに、財布が届けられると思う人の割合を調べて、見ず知らずの人に対する信頼度を計った。
戻ってくる財布の割合は、人々の想像よりも2倍近く高かった。世界中で行われたこの調査で、他者の親切心を信じることと、幸福度には、これまで考えられていた以上に密接なつながりがあることが明らかになった。
カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の経済学者で、世界幸福度報告書の創刊編集者ジョン・F・ヘリウェル氏は、財布実験のデータから、「人々は、互いを気にかけていると感じる場所で暮らす方が幸せ」であることが分かったと述べた。
生活を10段階評価
第13回世界幸福度報告書は、国連が定めた国際幸福デー(3月20日)に合わせ、英オックスフォード大学のウェルビーイング研究所が発表した。
各国の人々に自分の生活を10段階で評価してもらい、その3年間の平均に基づいて順位をつけている。
フィンランドは10点満点中平均7.736点で、8年連続首位だった。2位のデンマークは7.521点だった。
専門家によると、コスタリカとメキシコの順位が上がったのは、家族の絆が影響しているという。
2025年版のトップ10は次の通り。
1. フィンランド
2. デンマーク
3. アイスランド
4. スウェーデン
5. オランダ
6. コスタリカ
7. ノルウェー
8. イスラエル
9. ルクセンブルク
10. メキシコ
世界幸福度報告書には、次の調査結果も記載されている。
・アメリカと一部の欧州諸国における、幸福度と社会的信頼の低下は、政治的分極化の拡大と方向性が関係している
・他者と一緒に食事をすることと、世界中のウェルビーイングには強いつながりがある
・世帯規模と幸福度には密接なつながりがある。メキシコと欧州では、4~5人暮らしが最も幸福度が高い
国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワークのジェフリー・D・サックス会長は、今回の調査結果で「幸福度は信頼度や優しさ、社会的つながりに根ざしている」ことが再確認されたと述べた。
「この重要な事実を積極的な行動に移し、世界中のコミュニティーで平和や礼節、ウェルビーイングを育めるかは、高潔な個人や市民としての私たちにかかっている」
オックスフォード大学のウェルビーイング研究所のヤン・エマニュエル・デ・ネーヴ所長は、「社会的孤立と政治的分極化のこの時代に、私たちは、人々を再びテーブルに着かせる方法を見つける必要がある。そうすることが、私たち個人と集団的なウェルビーイングにとって非常に重要だ」と述べた。【3月21日 BBC】
********************
【フィンランドの人々の幸福度を高める6つの価値観】
幸福度ランキングには「突っ込みどころ」は多々あるでしょうが、フィランドがなぜ「世界一幸せな国」なのか? 8年連続1位ということは、それなりの理由・背景があってのことでしょう。
****なぜフィンランドは「世界一幸せな国」なのか。そこには6つの価値観の違いがあった****
なぜフィンランドは「世界一幸せな国」なのか。そこには6つの価値観の違いがあった
フィンランドの人々はなぜ幸福度が高いのか
「世界幸福度ランキング」で北欧諸国が常に高得点を獲得していることはよく知られている。
中でもフィンランドは、寒い気候や長い冬、地域によっては日が昇らない時期があるにも関わらず、もう何年も首位をキープしている。(ちなみに、2024年のランキングで日本は51位だった)
こうした一見不利な状況に見えるフィンランドだが、高い生活満足度を実現し維持している背景には様々な理由があるようだ。
大きな理由の1つは、フィンランドには生活のストレスを軽減してくれる制度が整っていること。教育はほぼ無料で、仕事からの休暇が十分あり、医療保険も保証されている。国土面積は日本と比べやや小さいくらいだが、人口は約20分の1と少なく、様々なことが実現しやすい環境でもある。
しかし、フィンランドを「世界一幸福な国」にしているのはこうした制度だけのおかげではなく、習慣や信念も影響している。
フィンランドのメンタルヘルス専門家が教えてくれた、自国の人々がより幸せであると考える理由と、誰もが真似できる幸せへの「ツール」を紹介しよう。
感情を偽ろうとしない
世界の多くの国では、「元気?」との問いかけに「うん」「元気」と答えることが期待されている。軽い挨拶に対し悩みを語ることは、多くの場合、嫌がられたり不快に思われたりする。
しかしフィンランドでは、ポジティブであることを強制されることはない。MIELIメンタルヘルス・フィンランドのMeri Larivaara氏は、アメリカでの自身の経験と比較し、フィンランドは「大丈夫じゃない、元気じゃない、と言うことにより寛容だと思います」と述べた。この感情的な正直さが、フィンランドの幸福感に寄与しているのかもしれない。
感情を閉じ込めても良いことはない。息詰まり、誤解され、行き場がないように感じるだろう。感情を抑え込むことは社会との繋がりを奪い、早死にに繋がるという研究もある。
ワークライフバランスが優先されている
フィンランド人はよく働くが、勤務時間は適正な範囲であるため、多くの人はワークライフバランスの良い生活を送っている。
Larivaara氏は、「日々リラックスし、自分を大切にする時間がとれるのです」と話す。つまり、仕事以外の活動をする時間があるのだ。
Tempere大学社会科学部のJuho Saari学部長は、ほとんどの人の通勤時間は短く、それも仕事や自由時間に対する幸福度の高さに貢献していると述べた。
自然が身近にある
フィンランドの多くの人々の生活と幸福において、自然は大きな役割を果たしている──。この点については、話を聞いた3人の専門家全員が声を揃えた。
実際、フィンランドには「Everyman’s Right(自然享受権)」と呼ばれる権利があり、土地の所有者に関係なく、市民は全ての森、湖、海辺などの大自然を無料で利用することができる。つまり、森でのキャンプやベリー狩り、きのこ狩り、水泳、ハイキングなどのアクティビティを自由に楽しむことができるのだ。
また、フィンランドでは大都市部でも小さな町でも、常に自然が身近にあるという。
Oulu大学で心理学を教えるMirka Hintsanen教授は、「自然がストレスを軽減し、それが幸福感につながるという研究があります。つまり、ストレスが少ないと幸せを感じやすいのです」と話す。
あなたも近くの公園を散歩すれば、フィンランド流の幸福のヒントを得ることができるだろう。
新たなスキルを学ぶことが奨励されている
「私たちは成長することにとても熱心です。それに、新たなスキルを学ぶことは、メンタルヘルスに良いんです」」と Larivaara氏は話す。新たな言語や仕事のためのスキルを学ぶ必要はなく、新しいレシピを試したり、セーリングのレッスンを受講したり、シンプルなことで良いという。
Saari氏によると、フィンランドにはヨガから陶芸まで、趣味を一緒に楽しめる協会がたくさんあるという。参加費は安く、さらに新たなことを学び続けることができるという。また、Duke大学機械工学教授であるAdrian Bejan氏は以前ハフポストUS版に、私たちは新たなことを学ぶことで、時間をより豊かに感じられると述べている。
日々のルーティンから離れることで、時間を有効に使うことができたと後から感じることができるという。
信頼が厚い
フィンランドの人々の間にはとても強い信頼関係が存在するとSaari氏は話す。
「フィンランドは小さな国で、みんなさまざまな人々とネットワークを築き、『弱い繋がりの強さ』(適度に距離のある「弱い」関係性の方がより多くの情報が得られるという理論)があるのです」
(中略)良い人間関係を築くことは、幸福度を高める上で重要な役割を果たすという。
「孤独感を解消することは、幸福を感じるために最も重要なことの1つだという研究はたくさんあります」
実際、2021年の調査によると、孤独感は人生の満足度を予測する上で、最も強いネガティブ要因の1つと考えられているといい、人生を満たすには人との親密な関係が必要だという。
全体的な幸福感を高めるには、自分の心を満たしてくれる家族や友人と過ごすと良い。その関係を大切にし、彼らとの連絡を怠らず、絆を深めることが大切だ。
圧倒的な幸福感より心の満足感を経験する
Larivaara氏は「フィンランドでは文化的に、幸福という感情は強烈なものではなく、自分の人生や今あるものに満足する、という持続的で静かな感情です。その方が、常に強烈な幸福体験や感情を求めるよりも、幸福を感じるのが簡単なのかもしれません」と話す。
多幸感を求めるのではなく、1杯の美味しいコーヒーや信頼できる愛車など、日々の中で満足感を与えてくれるものを探し、1日を通じでその気持ちを維持したり、他に満足感を与えてくれるものを探すと良いだろう。
【外的要因も幸福感に影響することを忘れずに】
「西洋文化で幸せについて語る際には、幸せになれるような人生を送るのは自分次第だと話すことが多いと思います。何でも正しくやれば幸せになれる、そしてそれはあなただけの責任だ、という幻想を抱いています」とHintsanen氏は話す。
真実の部分もあるが、幸福をコントロールするのは自分自身だけでなく、周りの環境、生活状況、そして社会の決定も影響する。
例えば、あなたが教師で、自治体がその地域の教師全員の給与を削減すると決めた場合、あなたの幸福度はおそらく影響を受けるだろう。しかし給与削減の決定はあなたが変えられることではない。だから、自分の気分を自身で変えようとするのは重要だが、それはあなただけの問題ではない。
「個人の責任に限ることはできません。個人以外の要因もある、みんなそれを覚えておくことは重要だと思います」とHintsanen氏は述べた。【8月9日 HUFFPOST】
********************
【経済の停滞、失業率の上昇、財政のひっ迫 政府はその福祉関連費用の削減に踏み出す】
上記記事で言えば、「外的要因」に相当するのでしょうか、フィンランドの経済状況はあまりよくなく、失業率も高い状態です。これまでの福祉国家を支えてきた財政状況も悪化しています。
そうした外的要因の悪化によって、高い幸福感が削がれることも予想される・・・のか、あるいは、それでも人々は幸せを感じるのか・・・・
****「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ****
世界一幸せな国に、厳しい向かい風が吹いている。失業してから1000日が過ぎたヨウホ・ペッカ・パロマーさん(33)は、それでもまだ、フィンランドの抱える問題に気持ちまで押しつぶされてはいない。
フィンランドは、経済の停滞、失業率の上昇、財政のひっ迫に直面しながらも、国連が毎年発表する「世界幸福度報告書」では、8年連続で「世界一幸せな国」の座を守っている。
専門家によれば、この背景には手厚い福祉国家の仕組みがある。ただ、高齢化による社会保障費の急増を受け、政府はその福祉関連費用の削減に踏み出した。
「これまではセーフティーネットや社会保障に金銭面で支えられたことに感謝している。保障が削減されたからといって、昔より不幸になったというわけではない」とパロマーさんは語る。失業して1000日を迎えたこの日、彼は食べ物持ち寄りの集会を主催するため国会議事堂前の階段に立っていた。
「ただ、今の自分の状況を変えるためにできることは、あまりない」と続ける。元映像プロデューサーの彼は、数え切れないほどの応募書類を出し、面接も11回受けたが、いずれも不採用に終わった。
政府は失業手当を削減した一方、「ほとんど神聖な」年金には手を付けていない、と彼は訴えた。
<ノキアの携帯事業の破綻とロシアへの制裁>
かつて欧州で最も価値ある企業だった通信機器大手ノキアの携帯電話事業は、タッチスクリーン型スマートフォンへの移行に失敗し、2014年に終了。輸出に依存するフィンランド経済は、その後も長く苦境が続く。ウクライナ戦争をめぐる隣国ロシアへの制裁は輸出と観光産業に打撃を与え、関税や世界貿易をめぐる不確実性は、新たな重しとなった。
フィンランド中銀は、今年の経済成長率を0.3%と予測しており、24年の0.4%を下回る。フィンランド統計局が25日に発表したデータによると、10月の失業率は10.3%と、少なくともこの15年間で最も高い水準となった。15歳から24歳に限っては22.4%と、全国平均の2倍以上だ。
25日、欧州連合(EU)欧州委員会は、フィンランドに対する「過剰財政赤字手続き(EDP)」提案の検討に入ると明らかにした。フィンランドの財政赤字は、今後3年間はEUが認める上限であるGDP比3%を超えると予想されている。
脆弱な財政状況を受けて、政府はすでに福祉国家の一部を切り詰め始めた。失業給付や住宅手当の削減に加え、一部の医療施設も縮小や閉鎖の対象だ。
パロマーさんの集会に参加した失業中のハンナ・タイミオさん(54)は、「サービスの削減や切り下げが続いている。若い人たちのことを考えると、本当に恐ろしい」と語る。
マルティネン雇用相はロイターに対し、23年に発足した右派連立政権の目標は「財政を強化し、増大する債務を抑制すること」だと述べた。マルティネン氏は、高い失業率を「ひどい状況」と認める。それでも、解雇をしやすくすることで企業の雇用リスクを下げ、結果として雇用を増やす狙いがあるとして政府の方針を擁護する。
しかし、緊縮政策が経済の課題と消費者の悲観的な見方をかえって悪化させたという批判もある。フィンランド新経済分析センターのラウリ・ホラッパ所長は、財政再建策が公的債務比率の増加につながった可能性さえ示唆するシミュレーションを示した。
<それでも幸せなフィンランド人>
とはいえ、幸福は経済だけで決まるものではない。
幸福度調査で人びとが答える「人生評価」は、国全体の経済状況よりも、レジリエンス(強靱性)や「悪い時に、協調的かつ建設的に物事に向き合う力」といった要素に左右される。報告書の創設編集者であり名誉教授のジョン・ヘリウェル氏は、そう説明する。
調査会社ギャラップの最近のデータによると、フィンランド人が感じている「感情的な幸福感」は、昨年から大きく変わっていない。同じ調査で集めた「人生評価」のデータは、次回の世界幸福度報告書とともに、来年公表される予定だ。
幸福度報告書は、1人あたりGDP、社会的支援、健康寿命といった指標もあわせて評価している。
長期失業による経済的な打撃に翻弄されながら、パロマーさんが足しげく通うようになった場所がある。ヘルシンキのバルト海沿いにある、無料のコミュニティーサウナだ。運営も資金集めも、すべてボランティアが担っている。
「サウナでは誰もが平等だ。その人がどんな仕事をしているのか、どんな人なのかは見た目からは分からない」と彼は言う。
失業1000日目に何をするべきか。パロマーさんが、交流サイト(SNS)でフォロワーに尋ねたところ、閲覧数は100万回に達し、多くの提案が寄せられた。その中には、彼が国会議事堂前で実際に開いた「食べ物持ち寄り集会」があった。
「もちろん、今の状況を祝いたかったわけではない」と、霧雨のなか自家製のペストリーを振る舞いながら語る。
「それでも、何か行動を起こさなくてはいけない」【11月30日 NW】
**********************
「世界幸福度報告書」について補足すると、ランキングは主観的幸福度の評価できまります。
1人あたりGDP、社会的支援、健康寿命といった指標は幸福度を統計的に説明するための要因として評価されまが、ランキングを左右するものではありません。