
(「中国は出ていけ!」 韓国で行われている反中国デモ 参加者からは「私は日本がこんなにうらやましいと思ったことがありません。高市首相が本当によくやっているじゃないですか」との声も【11月28日 FNNプライムオンライン】)
【「他人の不幸は蜜の味」 日中取引の減少で韓国の反射利益期待も 韓国政府は静観の一手】
周知のように高市首相の「中国から台湾への武力攻撃は、日本にとっての存立危機事態にあたる可能性が高い」という主旨の発言が日中関係に緊張をもたらしていますが、高市発言への賛否はいろいろある中で、どちらの立場にせよ「今はいたずらに中国を刺激しない方がいい」という冷静さが日本社会にあるように見えます。(中国の圧力が更に強まり、日本側の“被害”が大きくなってくると事情はまた違ってくるかもしれませんが)
一方で、この日中対立状態を日本同様に中国と微妙な関係にある韓国はどのように見ているのか?
韓国で中国への嫌悪感、「中国ヘイト」が拡散していること、そのかじ取り・制御に李政権が苦慮していることは11月24日ブログ“韓国 社会に広がる「中国ヘイト」 対応に苦慮する李在明政権 「実用外交」の対中アプローチ”で取り上げたところです。
ただ、韓国が日本に対して根深い対立感情を有していることも事実ですので、今回事態に「他人の不幸は蜜の味」的な感情になるであろうことは容易に想像できます。
また、中国と日本の取引が制限されれば、その分韓国に需要が回ってくるという“反射利益”への期待もあります。
韓国政府は「静観」の一手といったところです。
****日本と中国の「対立激化」を固唾をのんで見守る韓国、もっとも今の気分は「“日中対立”は蜜の味」****
日本の高市早苗首相の国会発言を機に勃発した日本と中国との“衝突”は、韓国でも大きなニュースとなっている。二つの大国を隣国とする韓国にとっては「対岸の火事」ではないからだ。
韓国政府が抑え気味の反応を見せる一方で、韓国メディアは中国の日本旅行自制令や日本水産物輸入禁止などの経済報復が韓国には反射利益になるという期待混じりの展望を示すとともに、両国の対立の長期化がもたらす東アジア情勢の変化に対し、強い警戒感を抱いている。
「日本の苦境、われわれはポップコーンでも食べながら鑑賞しよう」
現在、両国の状況について韓国メディアの論調はおおむね中国に傾倒していると言えるだろう。中国側の度重なる圧迫が次々と伝えられる中で、テレビ放送局の公式ユーチューブアカウントは刺激的なサムネイルとタイトルを掲げたニュースクリップを続々と吐き出している。
公営放送のKBSニュースのアカウントには、
「中国を怒らせた高市首相」(11/17)
「14億の規模が押し寄せれば日本は圧死、中国軍『正面総攻撃』 米国は手を引く」(11/21)
「高市『退くつもりなんてないけど?』 トランプを後ろ盾に日本は勢いづく」(11/21)
「撤回しても強行しても“ポップコーン案件で面白展開”、計算が合わない高市『どうしよう』」(11/21)
「高市、極右の本性が本格化 韓国・中国を同時に刺激し、北東アジアが“危うい”」(11/22)
といった関連動画がアップされている。
(中略)21日の「撤回しても強行しても“ポップコーン案件で面白展開”、計算が合わない高市『どうしよう』」というニュースは、中国のさまざまな報復措置を伝えているのだが、タイトルの意味はと言えば、「高市首相が陥った“進むも地獄、退くも地獄”の状況は、どっちに転がっても韓国にとっては非常に面白い状況なので、ポップコーンでも食べながら鑑賞しよう」という意味だ。
日本の困惑ぶりを強調
他にも、
「今夜、戦闘が始まる 日本を正確に照準、動き出す中国軍」
「高市の発言に日本がパニック 台湾に関する発言が招いた惨事」
「ああ…それだけは… 日本が本気で恐れる致命打」(以上、ニュース専門チャンネル『YTN』のユーチューブアカウント映像)
「高市を追い詰める中国、次々と取り出す報復カード 次はレアアース輸出規制か?」
「中国の挑発は氷山の一角? 禁忌に手を出す日本」(以上、聯合ニュース)
「14億人の“日本断ち”に大騒ぎ それでも踏ん張る高市」(MBC)
など、中国の恐るべき圧迫に日本がコーナーに追い込まれているといった報道が大半を占めている。(中略)
日本のピンチは韓国のチャンス?
さらに韓国メディアは、中国の日本旅行自粛令と水産物輸入禁止措置が韓国にもたらす“反射利益”についても興味津々だ。
「中国政府が日本旅行を事実上制限する『限日令』を下すと、韓国航空業界が反射利益を期待し、中国観光客の誘致に積極的に乗り出している。航空業界によると、韓国の主要航空会社は、『限日令』が今年第3四半期の業績不振を克服する意外な好材料として作用するものと期待し、中国路線の拡張に積極的に乗り出している」<中国から“貴人”が来る──日本行きをやめた49万人を取り戻そうと、航空会社が取った行動>(毎日経済 11/24)
「中国と日本間の葛藤が深まり、日本の完成車市場で中国ブランドが停滞している間、韓国企業が‘反射利益’を得るか注目される。特に、現地で電動化モデルを前面に出した現代自動車が、中国のBYDを補完できるという観測が慎重に出ている」<中日間の対立が深まる中、現代自動車は日本で反射利益を得られるか>(ニューシス 11/24日)
「(対立の)事案自体が安保・主権と直結し、政治的に譲歩しにくいという点で両国間の葛藤が長期化する可能性が提起されている。この状況で韓国が日中葛藤の‘隙間受益’を受けることができるという見解だ。韓国投資証券のパク・ギフン研究員は「アジア観光需要が日本から韓国に傾く余地が大きくなっているという点に注目する必要がある」とし、「文化芸術の側面で強くなっている韓国の地位を考慮すると、韓国は日本の有意義な代替地として浮上する可能性がある」と分析した。
最近、中国のオンラインコミュニティでは、中国政府が日本産化粧品の輸入制限も検討できるという内容が言及されたことがある。中国の化粧品輸入国の割合はフランス、日本、韓国の順だ。中国内で販売される日本製品の空白が発生する場合、韓国の化粧品メーカーが反射利益を得ることができるという見方だ」<中国の“韓日令”、韓国に思わぬチャンス?…旅行・美容業界で隙間受益論>(時事ジャーナル 11/24)
韓国政府は「静観」の一手
韓国メディアによると、韓国の外交専門家らは日中対立の長期化に対する備えが必要だという指摘とともに、両国問題に対する仲裁の役割を果たすよりは「観望」あるいは「中立」を守らなければならないと助言している。
「中国は台湾に対してはあまりにも明らかだ。韓国が仲裁できる役割は容易ではない。短期的に中立的な立場を固守し、落ち着くことを期待しなければならない」(イ・ムンギ世宗大学教授)
「韓中日の3国が同時に関係が良かったためしがなかった。韓日または韓中、日中の一つは必ずギクシャクしてきた。日中間の対立局面がいつ終わるか分からない状況では見守るのが正しい」(ファン・ジェホ韓国外大教授)
「中国の逆鱗と見られる台湾問題を韓国が仲裁する必要はない。韓国は台湾問題とは別に“一つの中国原則”を堅持すると同時に、東シナ海、南シナ海などで航行の自由を強調することが重要だ」(イム・ウンジョン公州大学教授)
韓国政府も徹底した「静観」を選択した。南アフリカ主要20カ国(G20)首脳会議への出席を機に歴訪中の李在明(イ・ジェミョン)大統領は11月23日、テュルキに向かう専用機の中で開かれた記者会見で、日中対立に対する立場を問う記者の質問に対し、「大韓民国の立場からは、現在の状況を冷徹に見守り、国益が損なわれることがないように、また国益が極大化されるように最善を尽くすべきではないか」という“曖昧”な答えで応じた。
ただ、米国の同盟国である韓国は、現在の状況をいつまでも見守る立場にいるとはできそうもない。14日に発表された米韓間の通商・安保に関するジョイントファクトシート(共同説明文)には、米韓安保同盟が「北朝鮮の脅威だけでなく同盟に対するすべての域内脅威に対処しなければならない」と明示された。
また、「日本との3者同盟を強化していく」ことや、「朝鮮半島とインド太平洋地域における平和と安全、繁栄に寄与する」ことを公約した。つまり、「台湾の有事」は日本と同様、韓国にとっても有事である。
米国がどれほど積極的に日中対立に関与するかによって、韓国もいつまでも高みの見物というわけにはいかないだろう。【11月26日 JBpress】
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【米も介入しない状況で「韓国が仲裁の成果を出せるような問題ではないだろう」「韓国は飛び火しないよう注意すべきだ」】
韓国政府高官が相次いで訪日・訪中を予告しており、仲裁者として乗り出すのか注目されてもいますが、トランプ米大統領が直接の介入は避けている状況で、「韓国が仲裁の成果を出せるような問題ではないだろう」「米国も関与しない状況で、韓国は飛び火しないよう注意すべきだ」というのが実情でしょう。
****「台湾有事」で対立深まる日中、韓国は高官の両国訪問でバランス模索…ただし「韓国が仲裁できる問題ではない」の指摘も****
(中略)トランプ米大統領は両国首脳とそれぞれ電話会談をする一方、直接の介入は避けているもようだ。そんななか、韓国は高官の訪日・訪中を予告しており、仲裁者として乗り出すのか注目されている。専門家は、直接的な介入を自制し、状況を長期的に見守る必要があると助言している。
トランプ大統領は11月25日(現地時間)、米フロリダ州へ向かう専用機で、24日の高市首相との電話会談について記者団に問われ、「非常に良い対話を交わした。我々はとても良い関係を維持している」と述べた。さらに「習近平中国国家主席とも非常に良い対話を交わした。あの地域は上手くいっている」と語った。
トランプ大統領は、習主席に続いて高市首相との電話会談に臨んだ。前者は習主席の要請により、後者はトランプ大統領の要請により進められた。
これに対し、高市首相はトランプ大統領が電話会談で最近の米中関係について説明したとし、「日米間の緊密な協力を確認できた」と評価した。一方、米中首脳間の電話会談で、習主席はトランプ大統領に台湾問題に対する中国の原則的立場を伝えたのに続き、トランプ大統領は「米国は台湾問題が中国にとってどれほど重要であるかを理解している」と答えたと中国国営新華社通信は報じた。
日中両国の主張通りであれば、トランプ大統領は両国対立について原則的な立場のみを伝え、距離を置く姿勢を見せている。むしろ、中国が強調する「一つの中国」原則、すなわち「台湾は中国の一部」という立場に同調するような態度を示した。また、「あの地域は上手くいっている」という発言から推測すると、日中間の対立について大きな懸念を示していないと解釈される。
両国の対立により、韓国は短期的には観光をはじめ、工業製品、食料品など各種分野で「反射的利益」を享受できるという見通しが出ている。しかし、中・長期的には北東アジア情勢の混乱が続く場合、韓国も被害を受けるのは避けられないという分析もある。
世宗大学国際学部のイ・ムンギ教授は「日中間の対立が構造化され長期化すれば、我々にとっては大きな負担となる。経済的には当面は得があるように見えるが、不安定性による北東アジア情勢の不確実性による(経済における)危険負担もさらに大きくなるだろう」と述べた。
一方、韓国政府は日中両国との接点を広げている。韓国のキム・ミンソク(金民錫)首相が来年1~2月中に日本訪問を検討していると伝えられている。また、パク・ユンジュ外務次官は12月中に中国・北京を訪問し、中国の馬朝旭外務次官と会談するとされる。
北東アジア情勢の当事者である韓国が、高官の相次ぐ訪問により仲裁者の役割を自任する可能性がある、という観測もある。イ・ジェミョン(李在明)政権の「国益中心の実用外交」の観点からも、北東アジアでの日中対立の固定化は国益に害となるためだ。
ただ、今回の両国訪問は仲裁者の役割というよりは、先の首脳会談を通じて合意された両国の協力策を具体化する契機となりそうだ。高官接触は、今回の紛争事態によって生じた北東アジア情勢の混乱の中で、リスクを避けるための一種の「ヘッジ」(危険回避)となるものと観測される。
これに伴い、韓国としては直接的な介入は避けるべきだというのが専門家の共通した分析だ。台湾問題は中国の「逆鱗」であるため、これに対する直接的な発言を避け、外交的な「修辞」を繰り返すのが最善の策であるとの提言も出ている。
グローバル戦略協力研究院のファン・ジェホ院長は「中国がこの問題から後退するのは容易ではない。日本が融和的なジェスチャーを取れば、それを中国が受け入れ、一旦収束させて次へ進む可能性が高い。韓国が仲裁の成果を出せるような問題ではないだろう」と述べた。
西江大学国際大学院のキム・ジェチョン教授は「韓国は今回の日中対立で両国いずれにも肩入れする発言を絶対にしてはならない。米国も関与しない状況で、韓国は飛び火しないよう注意すべきだ」と強調した。【11月27日 KOREA WAVE】
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【反中国デモ参加者からは「日本がうらやましい」】
一方、11月24日ブログで取り上げた、韓国における「中国ヘイト」も深刻化しています。そうした立場からすれば、中国に明確に物申す高市首相を評価し、「日本がうらやましい」という声も。
****「中国は出ていけ!」韓国で“反中国デモ”拡大…団体旅行客へのビザ免除で中国人観光客増加に不満 デモ参加者から「日本がうらやましい」の声も****
韓国・ソウルで中国人観光客の増加に反対する“反中デモ”が頻発している。背景には、9月末に導入された中国団体客向けビザ免除政策があり、繁華街で「チャイナ・アウト」の声が上がった。
一方、台湾観光客は誤解を避けるため「台湾から来ました」と記したバッジを着用していた。中国を巡る緊張は、東アジアで一層高まっている。
普段であれば観光客や買い物客でにぎわう韓国の首都ソウルの繁華街。 ところが、聞こえてきたのは「チャイナ・アウト(中国は出ていけ)」のシュプレヒコールだった。 ソウルでは今、頻繁に“反中国のデモ”が行われていた。(中略)
「日本がうらやましい」韓国で“反中デモ”相次ぐ
こうした中、韓国では“反中国”の動きが拡大している。 多くの商店が立ち並ぶソウル市南部の繁華街で26日夜も行われた保守系支持者のデモ活動。 幅広い年齢層の男女が100人近く参加した。
一体なぜ、韓国で反中デモが行われているのか。 事の発端は2025年の9月末に導入された、中国の団体観光客に向けた一時的な“ビザ免除政策”。 これにより、中国人観光客の増加に反対する人たちが毎日のように各地でデモを行っているという。
(中略)9月には、ソウルの中の中国と呼ばれる中華街でデモが行われた。 さらに、中国の習近平国家主席が韓国を訪問した10月には、反中国のスローガンを叫んだYouTuberが警察に検挙された。
そして、26日にも行われた反中デモ。 参加者は「ビザなし反対」と書かれたプラカードを掲げていた。 デモの参加者からは「ずっと中国文化が定着しているのが以前から理解できなかった」「私は日本がこんなにうらやましいと思ったことがありません。高市首相が本当によくやっているじゃないですか」といった声が聞かれた。
反中デモがソウル各地で行われる中、登場したのが英語や韓国語で「台湾から来ました」と書かれたバッジ。 中国本土ではなく、台湾から来た観光客の間でバッジを身に付ける人が増えているのだ。 台湾から来た女性: 私たちも中国語を話すので、韓国の人たちが私たちを中国本土の人と誤解するのではないかと心配していた。 中国を巡る緊張は各地で続きそうだ。 (「イット!」11月27日放送より)【11月28日 FNNプライムオンライン】
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