lonelylika’s diary

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ

カナダ  地道なカーニー首相の対米関税交渉を頓挫させた「最強州」の反トランプ関税広告

(米首都ワシントン、ホワイトハウスの大統領執務室で会談するカナダのマーク・カーニー首相(左)とドナルド・トランプ米大統領2025107日撮影)【1025日 AFP】)

 

トランプ大統領の「51番目の州」発言でこじれた米・カナダ関係 地道な関税交渉を続けるカーニー首相

世界を騒がせた(今も未だ収まっていない)トランプ関税については、いろんな鉄鋼・アルミ、自動車、一般品目などいろんな分野で世界各国を対象にいろんな措置が繰り出されたこともあって、今現在何がどうなっているのか私自身は把握できていません。

 

それは私だけでなく、人間の処理能力をはるかに超えるAIにとっても、報じられている事柄を整理するだけでは十分に把握できない状況にあるみたいです。

 

日本の鉄鋼・アルミに対する関税率が今どうなっているのかAIChatGPT)に確認したところ、「定かなことはわからない」という自信のない回答。しかるべき部署・機関に確認すれば分かる話ですが、報道されているニュースだけではどうなったのかわからない状態にあります。

 

****日本産鉄鋼・アルミの関税適用率****

現時点では以下のように整理できます

 

日本産鉄鋼・アルミニウム製品に関しては、米国が一般に提示している「50%」の関税率がデフォルトとして適用される状態にある可能性が高いです。

 

ただし、日米枠組みで「多くの日本産品を15%関税にする」という合意があるため、鉄鋼・アルミ製品がその“例外品目”に含まれているかどうかが重要なポイントです。報道では「鉄鋼・アルミについては依然として50%のまま」という言及もあります。

 

つまり、「日本産鉄鋼・アルミ製品=50%」が現状の最も信頼できる数値ですが、完全に確定しているとは言えず、製品区分・原産/加工条件・合意文書の細部により適用率が変わる可能性があります。【ChatGPT】

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カナダもアメリカ・トランプ政権と関税をめぐり激しく争っている国ですが、その詳細はよく把握していません。

 

ただ、一つ言えるのは、フェンタニル流入をめぐる議論(南部メキシコ国境からが殆どで、カナダからの流入が多いとは思われませんが)に加え、トランプ大統領の「51番目の州」発言で両国の対立はヒートアップし、トランプ大統領のカナダ狙い撃ち的な攻撃に対し、カナダとしても安易な妥協は国民感情的にできない状況と推測されます。

 

今年4月の総選挙では自由党から保守党への政権交代が予想されていましたが、トランプ大統領の「51番目の州」発言があったせいで、硬化した世論は反トランプ的な自由党支持に傾き、予想外の自由党政権存続という結果にもなっています。

 

さりとて、カナダにとってアメリカの経済関係が死活的に重要であるのは言うまでもないところ。

自由党のカーニー首相はトランプ大統領の慎重・微妙な交渉を続けています。

 

****トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一律15%か20%」****

トランプ米大統領は10日、カナダから輸入される製品に35%の関税を課すとする書簡を公表した。他のほとんどの貿易相手国には15%または20%の一律関税を課す予定だと述べた。

 

トランプ大統領は自身のソーシャルメディアに投稿した書簡で、カナダのカーニー首相に対して8月1日に発効すると通告。報復措置を取ればさらに引き上げるとけん制した。

 

現行の25%から引き上げられる。米国と貿易協定で合意しようとしていたカーニー氏にとっては打撃だ。

 

政権当局者によると、貿易に関する「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の対象品目に対する除外措置は維持される見込みで、エネルギーと肥料に対する10%の関税も変更されることはないだろうが、トランプ氏はこれらの問題について最終決定を下していないという。

 

トランプ氏は書簡の中で、カナダからの合成麻薬フェンタニル流入や、同国の関税・非関税貿易障壁が米国の酪農家などを苦しめていると訴えた。【711日 ロイター

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前述のような対立ヒートアップでカナダはこれまでアメリカのトランプ関税に対しては報復関税を課す強硬姿勢でやってきましたが、カーニー首相も8月には譲歩することで事態を収束させたい動きを見せていました。

 

****カナダ 対アメリカ報復関税の多くを撤廃へ****

カナダのカーニー首相は22日、アメリカからの輸入品に対して課していた報復関税について、来月、多くの品目を対象から除外することを明らかにしました。 カナダはアメリカのトランプ政権による関税措置に対抗して、ことし3月に報復関税を発動しています。

これについてカーニー首相は22日、記者会見を開き、報復関税の対象品目のうち、USMCA=『アメリカ・メキシコ・カナダ協定』の条件を満たすものについては、関税を撤廃すると明らかにしました。 この措置は来月1日から適用するとしています。

アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、アメリカ産のオレンジジュースやピーナツバター、ワインなどに課されていた関税が撤廃され、およそ210億ドル、日本円で3兆円相当が影響を受けるということです。

一方、カナダはアメリカからの自動車や鉄鋼製品などを対象にした関税については維持するとしています。

カーニー首相は「両国の製品の大部分に関して自由貿易を再構築した」と意義を強調しました。

カナダはトランプ政権の関税措置をめぐって交渉を続けていて、譲歩する姿勢を見せることで進展につなげるねらいがあるものとみられます。【823日 NHK

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10月7日にもホワイトハウスで両国首脳会談が行われましたが、35%の関税引き下げでは合意できませんでした。

 

****トランプ米大統領、カナダ首相と首脳会談 関税引き下げ合意できず****

トランプ米大統領とカナダのカーニー首相は7日、ホワイトハウスで首脳会談を開いた。会談では貿易・安全保障を議論した。カナダにとっては米国が8月以降課している35%の関税を引き下げられるかが焦点だったが、合意できなかった。(後略)【108日 日経

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一方、鉄鋼・アルミニウム部門などの将来について「見解の一致」を見た・・・ということで、両国・両者の関係は改善に向けた動きも見せていました。

 

****トランプ氏と「意見一致」、米関税に直面の鉄鋼・アルミ巡り=カナダ首相****

カナダのカーニー首相は8日、トランプ米大統領と7日に行った会談で、米関税措置に直面している鉄鋼・アルミニウム部門などの将来について「見解の一致」を見たと述べた。(中略)

 

7日の首脳会談冒頭では、トランプ大統領は記者団に対し「米国は各国を公正に扱う。特にカナダを公正に扱う」とし、「カナダは満足するだろう」と述べた。同時に、米国は貿易で損をさせられているとの不満を改めて示し、一部のカナダ産品に対する関税措置を引き続き進めていく考えを示した。

 

当局者によると、 会談は実りあるものだったものの、カナダ産鉄鋼・アルミ、自動車への輸入関税を撤廃するようトランプ大統領を説得するには、一段の努力が必要という認識を示した。【109日 ロイター

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トランプ大統領を激怒させ、関税交渉頓挫させた「最強州」オンタリオ州の反トランプ関税広告】

そうしたカーニー首相の地道な交渉努力を吹き飛ばした感があるのがCM問題。

カナダ「最強州」であるオンタリオ州が行った、かつてのレーガン大統領の発言を引用した反トランプ関税広告にトランプ大統領が激怒・・・

 

****レーガン氏の自由貿易擁護演説が脚光、米カナダ間の新たな火種に****

レーガン米大統領が自由で公正な貿易をうたった1987年のラジオ演説が脚光を浴びている。

 

カナダのオンタリオ州政府がこの演説の一部を広告動画として使用したことに対し、トランプ米大統領が23日、関税に否定的な発言をしていたとする「虚偽」の広告だとして、カナダとの全ての貿易交渉を打ち切ったと表明。両国関係の新たな火種となっている。

 

レーガン氏はこの演説で「われわれは貿易相手国が合意を順守することを期待する。自由貿易へのコミットメントは公正な貿易へのコミットメントでもある」とし、いかなる貿易制限も「課したくない」と述べた。(中略)

 

演説ではその後、「高関税は必然的に外国からの報復を招き、激しい貿易紛争を引き起こす」と述べ、価格上昇や競争環境低下につながる悪循環を指摘。「最悪の事態となれば、市場は縮小して企業や産業は閉鎖され、何百万もの人々が職を失う」と訴えた。

 

オンタリオ州の広告には、こうした保護貿易の危険性を指摘した部分が使われた。【1025日 ロイター

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****トランプ氏、カナダとの貿易交渉打ち切り 関税巡る「虚偽広告」で****

トランプ米大統領は23日、カナダとの全ての貿易交渉を打ち切ったと明らかにした。レーガン元大統領が関税に否定的な発言をしていたとする虚偽の広告をカナダ側が発表したことが理由だと述べた。 

 

自身の交流サイト(SNS)に「カナダの重大な行為に基づき、全ての貿易交渉を終了する」と投稿した。 

 

トランプ氏は今年に入り、カナダの鉄鋼、アルミニウム、自動車に関税を課し、カナダもこれに対抗して同様の措置を講じた。双方は数週間にわたって、鉄鋼とアルミニウムに関する合意に向けて協議してきた。

 

オンタリオ州のフォード首相は今週、関税に反対するメッセージを発する同州の広告がトランプ大統領の目に留まったと述べていた。 その広告ではレーガン元大統領が外国製品への関税を批判し、雇用喪失や貿易戦争を引き起こしていると訴えている。 

 

ロナルド・レーガン大統領財団は23日夜に声明を発表し、オンタリオ州政府の広告はレーガン大統領の「音声と映像を選択的に使用している」とし、法的手段を検討していると述べた。 「この広告は(1987年のレーガン大統領による)ラジオ演説を歪めており、オンタリオ州政府は発言の使用や編集について許可を求めても得てもいない」とした。 

 

カナダ政府は現時点でコメントしていない。 カナダのカーニー首相は23日、記者団に対し、米国との貿易協議が最終的に決裂した場合、米国による自国市場への不当なアクセスは認めないとの認識を示した。【1024日 ロイター

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カーニー首相としては、何とか交渉再開に持っていきたいところ。

 

****カナダ首相、米と貿易交渉再開の用意 問題広告は週明け停止****

カナダのカーニー首相は24日、米国側の準備が整えば、カナダは「貿易交渉を再開する用意がある」と表明した。また、カナダは米貿易政策をコントロールすることはできないとも述べた。(中略)

 

オンタリオ州のフォード州首相はその後、カーニー首相と協議し、米中貿易交渉が再開できるよう、問題となった広告の放映を停止すると表明した。

 

フォード氏は声明で「27日から米国での広告キャンペーンを一時停止する」と述べた。ただ、米大リーグ(MLB)のワールドシリーズの序盤戦が行われる24、25日については、放映を継続する計画という。【1025日 ロイター

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オンタリオ州のフォード州首相は米大リーグ(MLB)のワールドシリーズの序盤戦が行われる24、25日に広告を継続することで目的は果たした・・・といったところですが、こうした対応にトランプ大統領は不快感を募らせています。

 

****カナダ首相に「会うつもりはない」とトランプ氏-尾を引く反関税広告****

トランプ米大統領は、米国の関税への反対を主張するカナダ・オンタリオ州のテレビ広告キャンペーン巡り、同国の対応にあらためて不満を表明した。その上で、カナダとの現行の通商協定に「満足している」と述べるとともに、カーニー首相と近く会談するつもりはないと話した。

 

オンタリオ州は州政府の資金で制作された同広告のキャンペーンを27日から一時停止すると発表した。だが、トランプ氏の不快感を和らげる効果はほとんどなかったと見受けられる。同氏は23日、カナダとの全ての貿易交渉を直ちに打ち切ると表明していた。

 

トランプ氏はアジア歴訪に向かう大統領専用機内で、(中略)カーニー氏もマレーシアで開催される東南アジア諸国連合ASEAN)関連会合と韓国でのアジア太平洋経済協力会議APEC)首脳会議に出席するが、カーニー氏と会談する予定があるかどうかの質問に、トランプ氏は「会うつもりはない」と述べた。

 

トランプ氏はアジアへの出発前、問題の広告を「不誠実だ」と非難し、米大リーグ(MLB)のワールドシリーズの第12戦で放映を続ける趣旨の判断を批判していた。

 

ホワイトハウスで記者団に対し、「広告を取り下げると聞いていたが、むしろ少し増やしたとは知らなかった。今夜にでも放映をやめることはできたはずだ。それは汚いやり方だ——だが、私は彼らよりもっと汚くやることもできる。実に不誠実だ」と述べた。

 

オンタリオ州のフォード首相はカーニー氏と話した後、貿易協議が再開されるよう、この広告キャンペーンの一時停止を発表していた。しかし、トランプ氏の発言からは、両国関係に新たな不確実性をもたらした今回の問題を水に流す用意はないことがうかがえる。

 

一方、カーニー氏は24日、アジア歴訪に向けて政府専用機に搭乗前、「米国が準備できた時」に交渉を再開する用意があると記者団に述べた。「われわれは米国の通商政策をコントロールすることはできない」とし、「その政策が1980年代、1990年代、2000年代のものから根本的に変化したことを認識している」とも語った。【1025日 Bloomberg

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【カーニー首相とフォード・オンタリオ州首相の政治対立 「カナダはいわゆる日本の『幕藩体制』のような状況」】

話がこじれているのは、カーニー首相と「最強州」オンタリオ州のフォード州首相の政治的立場の違いにあるようです。フォード州首相としては、カーニー政権の対米交渉に揺さぶりをかけ、世論に「強いリーダー」をアピールしたい思惑があるようです。

 

****トランプ氏怒ったCM、カナダ「最強州」の罠 関税交渉打ち切りに****

トランプ米大統領23日夜にカナダとの関税交渉の打ち切りを一方的に通告した。カナダのオンタリオ州が配信した関税に反対するテレビCMに虚偽の内容が含まれていると主張した。トランプ氏と慎重に交渉を続けてきたカーニー首相にとっては大きな誤算だが、騒動の底流にはカナダで最も影響力の強い自治体の狙いがある。

 

CM作ったオンタリオ州、支持層へアピール

トランプ氏がやり玉に上げたのは、首都オタワや最大都市トロントを擁するカナダ「最強州」のオンタリオ州が配信した関税に反対するテレビCMだ。「(関税は)長期的に米国の労働者と消費者に損害を与える」「激しい貿易戦争につながる」とのレーガン元大統領の1987年の演説を引用し、米国民にカナダへの関税の再考を促す内容だ。

 

これにトランプ氏が「関税は国防にとって非常に重要だ」とかみついた。ロナルド・レーガン大統領財団・研究所も23日、広告は「レーガン氏の演説を誤って伝えている」と反発した。「オンタリオ州政府は使用許可を受けておらず法的手段を検討中だ」とも表明した。

 

オンタリオ州があえて議論を呼ぶCMを制作したのには背景がある。ニューヨーク州ミシガン州など米国と国境を接するオンタリオ州は、自動車や鉄鋼、アルミの生産拠点があり米国と貿易面での結びつきが強い。同州の州首相を務めるフォード氏の支持層にもこうした業界の有権者が多く存在する。

 

トランプ氏による35%の「フェンタニル関税」のほか、鉄鋼・アルミ、自動車関税で同州の労働者は大きな打撃を受けている。

 

ワールドシリーズで放映、「目的は達成」

トランプ氏に対抗するこのCMは、今週末から始まる米大リーグ、ドジャースオンタリオ州を地盤とするブルージェイズワールドシリーズの試合中に放映する。「フォード氏は自身を強いリーダーとして印象づけられると感じている」(カナダのシンクタンクマクドナルド・ローリエ研究所のジョナサン・ミラー氏)。

 

実際、フォード氏はこれまでも米国に輸出する電気料金の上乗せ措置を表明するなどトランプ関税に対抗する姿勢を鮮明にしてきた。カーニー氏の7日の訪米前にも、交渉が進まなければ報復関税に打って出るべきだとしてカナダ政府に揺さぶりをかけていた。こうした対米強硬路線が支持され、オンタリオ州世論調査でもフォード氏が率いる進歩保守党が野党を大きく引き離している。

 

厳しい立場に追い込まれたのはカーニー氏だ。カナダ側は米国への報復関税を一部撤廃するなど歩み寄りの姿勢を示すことでトランプ氏から譲歩を引き出そうとしてきた。26年には米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しが予定されており、トランプ氏が態度を硬化させれば交渉の難航が予想されるからだ。

 

強い州の自治権、カーニー氏窮地

(中略)フォード氏は24日、カーニー氏と電話協議し「CMを一時停止する」と表明した。だがCMが止まるのは、ブルージェイズのホーム戦2試合が終わった後だ。トランプ氏の投稿でCMは世界の注目を集めたうえに「米国の最高レベルの層にまでリーチすることができ、目的を達成した」(フォード氏)。

 

カナダは各州の自治権が強く、首相と州首相の意見が対立することも少なくない。ミラー氏は「カナダはいわゆる日本の『幕藩体制』のような状況にある。トランプ氏との複雑な関係をうまく処理する役割はカーニー氏に委ねられる」と指摘する。【1025日 日経

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「カナダはいわゆる日本の『幕藩体制』のような状況にある。」・・・ミラー氏は随分と日本の歴史に詳しいようです。

 

日本の首相と東京都知事の対立というより、討幕を狙う長州が攘夷決行し、列強との交渉を進めたい幕府に揺さぶりをかける・・・そんな構図でしょうか。