
【6月21日 NHK】 該当でのリコール署名を集める与党系市民団体の活動のようです)
【野党・国民党が第1党 8議席の民衆党がキャスティングボード 政権与党は議会運営に苦慮】
2024年1月13日、台湾では総統選挙が実施され、蔡英文総統の後継者として民進党の頼清徳副総統が票率40%を獲得、候友宜氏(国民党)33% 柯文哲氏(民衆党)26%を抑えて新総統に選出されました。
この総統選挙と合わせて国会にあたる立法委員選挙も行われましたが、そこでは中国との関係をより重視する野党・国民党が51議席を獲得し、50議席の与党・民進党を上回る結果となりました。
また、党代表・柯文哲氏が総統選挙にも出馬して民進・国民両党にくわえて三つ巴状態の争いを繰り広げた民衆党が8議席を獲得して、民進・国民の与野党が対立する議会運営において“キャスティングボード”を握る形にもなりました。
****台湾の頼清徳新総統は民主主義の戦いを続けられるか?立法院で8議席獲得の民衆党の動きにも注目****
2024年1月13日付のウォールストリート・ジャーナル紙社説は、1月13日に行われた台湾の総統選挙の結果について、「民主主義の勝利」と讃えるとともに、米国が西太平洋と台湾の防衛力強化に一層コミットするよう求めている。
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(中略)今回の総統選挙の結果、台湾国民の多数が中国からの「台湾統一」への圧力に屈しないことをはっきりと示した。このことをウォールストリート・ジャーナル紙の社説は「台湾の民主主義の勝利」と述べている。
得票率を見れば、頼清徳(民進党)40%、候友宜(国民党)33% 柯文哲(民衆党)26%であり、頼清徳の圧勝とまでは言えないが、一般の予想を上回る得票率を獲得したと評することが可能であろう。(中略)
他方、総統選挙と同時に行われた立法院選挙を見れば、民意の大勢が総統に頼清徳を選びながらも、立法院においては、民進党に白紙委任をしたわけではない。
民進党50議席、国民党51議席、民衆党8議席に示されるように、議会との関係において、民進党・頼政権は、難しい運営を迫られる可能性がある。
民衆党の動きに今後も注目
今回の総統選挙をめぐり、野党国民党の打った手がむしろ、民進党・頼清徳に有利に働いたと見られる点はいくつかあった。一時国民党と民衆党の野党連合が成立する直前まで行ったが、最終的には、民衆党がこの野党連合を不満として、かかる連合に反対したため、連合は成立しなかった。
さらに、国民党・元総統の馬英九が、中国共産党について「習近平主席の言うことは信頼できる」との趣旨の発言をし、国民党支持者も含め多くの台湾人からひんしゅくを買ったことがある。
今年5月より発足する頼清徳政権にとっては、議会の「ねじれ現象」の中で、いかに民意を取りまとめていくか、容易ではないであろう。頼清徳としては、8議席という、予想以上の議席を獲得した民衆党が議会でキャスティング・ボートを握るケースが増えることを想定しておかねばならないと思われる。【2024年2月1日 WEDGE】
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****台湾の国会に相当する立法院 野党・国民党の「立法院長」誕生へ 与党・民進党は難しい政権運営に****
台湾の国会に相当する立法院で、日本時間の午後、議長に当たる院長が選出されます。先月の選挙で多数派となった野党・国民党から選出される見通しで、与党・民進党は、難しい政権運営を迫られそうです。
台湾では先月の総統選と同時に、国会議員に相当する立法委員の選挙も行われ、中国と距離を置く与党・民進党の議席が過半数を割り、中国に融和的な野党・国民党が多数派となりました。(中略)多数派となった国民党は、4年前の総統選にも出馬した韓国瑜氏を推す方針を固めています。
一方で国民党の議席は単独過半数には届いておらず、第三勢力の民衆党の出方に注目が集まっています。ただ、民衆党は党内の委員を推す方針を明らかにしたため、多数派の国民党の韓氏が院長に選出される見通しです。
これまで蔡英文政権は立法院で過半数の議席を維持していましたが、国民党の院長の下、5月に就任する頼清徳次期総統は、難しい政権運営を迫られることになりそうです。【2024年2月1日 TBS NEWS DIG】
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院長(議長)の選出では民進、国民の2大政党が過半数に届かない中でキャスティングボートを握る新興の民衆党は棄権。5月に次期総統に就く民進党・頼清徳氏の政権運営にとって、今後の波乱をうかがわせる幕開けになりました。
その後の議会運営を見ると、職権強化法(立法院改革法)などをめぐって、想定されたように民進・国民与野党の対立が激化しています。
2024年5月、議会を主導する野党・国民党が提出した法案は、行政機関への情報提供や証人招致を強化、違反には罰則も規定。
与党・民進党は「行政機能を阻害し、国家安全に懸念あり」と反発。国会では野党による乱闘事件、抗議デモが発生
この改革をめぐり、立法院と首相・行政部門との軋轢が表面化。民進党政権と立法院の対立が「ねじれ状態」を深化させています。
こうした与野党対立の中で、キャスティングボードを握る民衆党は法案ごとに立場を変え、与野党のどちらと組むかが注目。議会運営の方向性を象徴する要因となっています。
【「ねじれ議会」解消へ、与党系市民団体が野党議員を集団リコール運動】
こうした困難な議会運営状況を打開すべく与党系市民団体が繰り出したのが“リコール戦術”
****台湾「親中派」議員24人に一斉リコール投票 7月下旬、「ねじれ議会」解消へ勢い****
台湾の中央選挙委員会は20日、最大野党・中国国民党の立法委員(国会議員に相当)24人に対する市民団体のリコール(解職請求)案について、必要署名数を満たし有効と認定した。7月26日に各選挙区で解職の是非を問う投票が行われる。
市民団体は「親中派」とみなす野党立法委員を大量リコールの標的にしており、投票結果は頼清徳政権の対中政策にも影響を与えそうだ。
リコール投票実施が決まった24人のほか、国民党立法委員5人に対する署名の審査も続いており、投票の対象者は増える可能性がある。一方、国民党系の市民団体が対抗措置として民進党の立法委員15人に対し提起したリコール案は署名不足で不成立が相次いだ。
立法院(国会、定数113)で少数与党の民進党は、解職成立後の補欠選挙で6議席を上積みすれば「ねじれ議会」を解消できる。国民党側にとって厳しい状況になるとともに、民進党系市民団体の勢いが増しそうだ。
昨年5月に発足した頼政権に対抗して国民党と第2野党の台湾民衆党は共同歩調を強め、過半数を占める立法院で頼政権の行政権を弱める法案や予算案を次々と可決。外交防衛政策にも支障をきたすなど、頼総統は苦しい政権運営を強いられてきた。
与党系市民団体は、こうした野党の攻勢の背後に中国の存在があると主張し、起死回生を狙うリコール運動を1月から本格化。これに対して国民党系の市民団体も民進党立法委員へのリコール案で応戦していた。【6月20日 産経】
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住民投票は対象となる議員のそれぞれの選挙区で行われ、リコールへの賛成票が反対票を上回り、かつ有権者数の4分の1以上になれば、罷免が成立します。リコールが成立した場合、その後に補欠選挙が行われます。
その補欠選挙で6議席以上を獲得出来れば・・・という狙いです。
ただ、2024年1月の総選挙では野党陣営が勝利している訳で、改めて補欠選挙を行って逆転できるのか?という疑問も。
****前回敗れた総選挙に比べ、今回のようなリコールを使った戦術は与党にとって勝機が増えるのでしょうか?****
とても重要なご質問です。台湾におけるリコール制度を活用した与党(民進党やそれに近い市民団体など)の戦術が、通常の総選挙よりも有利に働くかどうかについては、次のような点から分析できます。
- リコール戦術の特徴と利点(与党にとっての「勝機」)
✅ 投票率の低さを利用しやすい
リコールは、成立のハードルとして「有権者の25%以上の賛成票」が必要ですが、総選挙と比べて有権者全体の関心が低いことが多く、組織力の強い陣営(今回は与党寄りの市民団体)がターゲットを絞って効率的に運動できれば、少人数でも成立させやすいです。
✅ 特定の議員を標的にできる
総選挙では選挙区全体の民意が問われますが、リコールでは特定の議員の言動や評判に絞って攻撃できるため、ネガティブキャンペーンの効果が大きいです。国民党の議員が議会運営で強引な姿勢を見せたりした場合、その一点を集中攻撃されやすくなります。
✅ 補欠選挙は与党に有利な地盤で行われやすい
リコールが成功した場合の補欠選挙は、その地盤において与党支持者の動員がしやすく、また国政全体の流れに左右されにくいため、与党が勝ちやすい傾向にあります。
- 逆にリスクや限界もある
⚠️ リコールの乱用は反感を買う
市民の一部は「制度の私物化」と感じる可能性があります。あまりに短期的な政治的目的でリコールを繰り返すと、与党にとってもブーメランになりかねません。
⚠️ 与党支持層の疲弊
複数のリコール・補選を繰り返せば、動員コストが高まり、支持層が疲弊します。これは2021年頃の高雄市長罷免戦(韓国瑜市長)などで見られた傾向です。
- 前回の総選挙との比較での「勝機」
総選挙では全国的な争点が重視され、与党への政権評価がそのまま議席に反映されます。2024年の総選挙では与党・民進党が議席数で劣勢となった背景には、物価高・エネルギー政策・中国との関係などの広範な課題が影響しています。
一方、リコール戦術では個別議員の振る舞いや選挙区の局所的問題にフォーカスでき、国全体の雰囲気に左右されにくい。つまり、与党が巻き返すには短期的・局所的な「逆転の道具」としてリコールが有効であるといえます。
【結論】
リコール制度を用いた戦術は、
▶ 総選挙では勝てなかった与党にとって、限定的ながら勝機をもたらす可能性があります。
とくに組織力があり、特定議員に対する市民の不満を効果的に煽れる場合には有効です。
ただし、これは持続的な政治基盤の回復にはならず、あくまで数議席を取り戻すための補助的な戦術にすぎません。【ChatGPT:】
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現実問題としては、リコール成立後の補欠選挙は、全国的・全政策的枠組みのもとで行われる総選挙と異なり、特定候補に絞った賛否の方向に持って行けば、総選挙とは異なる結果も出せる・・・もののようです。
【中国側の圧力 軍事進攻だけでなく、普段から情報提供を求めるスパイ・浸透工作 政権側は軍人・公務員の調査を実施】
台湾は半導体産業を中心に国際的に非常に強い競争力を有しています。
****「世界競争力ランキング」で台湾6位、日米中韓を上回る―台湾メディア****
2025年版の「世界競争力ランキング」で台湾が6位となり、日米中韓を上回った。台湾版Yahoo!の財経特約記者が伝えた。
同ランキングはスイスのローザンヌに拠点を置くビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が69の国と地域を対象に調査し、発表したもの。ランキング1位はスイス、2位はシンガポール、3位は香港、4位はデンマーク、5位はアラブ首長国連邦(UAE)、6位は台湾、7位はアイルランド、8位はスウェーデン、9位はカタール、10位はオランダだった。
その他の国では、カナダが11位、米国が13位、中国が16位、オーストラリアが18位、ドイツが19位、マレーシアが23位、韓国が27位、英国が29位、タイが30位、フランスが32位、日本が35位、インドが41位、イタリアが43位、ブラジルが58位などとなった。
評価は「経済状況(経済パフォーマンス)」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4大指標に基づいて行われる。台湾の政府機関・国家発展委員会によると、台湾はそれぞれ10位、8位、4位、10位だった。中でも「経済パフォーマンス」が前回から16ランク上昇したことが、総合順位を押し上げた主な要因だとしている。また、詳細な評価項目では台湾は24項目で世界トップ3に入ったという。【6月18日 レコードチャイナ】
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しかしながら、中国の台湾侵攻というリスクも厳然として存在し、「世界競争力ランキング」6位の実力が一夜で消えるリスクも存在しています。
純粋に軍事的圧力だけでなく、普段から中国の浸透工作により圧力にさらされています。中国側の働きかけは政権中枢に及んでいます。
****台湾、前外交部長の元秘書らを起訴 中国側に機密情報漏らしたか****
台湾の前外交部長の元秘書らが、中国当局からの働きかけを受け、中国側に機密情報を漏らしたなどとして起訴されました。
台湾の検察当局によりますと、蔡英文政権で外交部長を務めていた呉釗燮氏の元秘書や総統府の元顧問ら4人は、中国側に機密情報を漏らしたなどとして10日、起訴されました。当時、副総統だった頼清徳総統の外国訪問の日程や、総統選挙での活動の日程なども中国側に提供されていたということです。
台湾メディアによると、4人のうちの1人で民進党市議の元助手が、中国で事業をしていた際に取りこまれ、2017年からあわせて607万台湾ドル(約2900万円)の報酬を得ていたということです。検察当局はこの元助手が主犯とみて、4人の中で最も重い懲役30年6か月以上を求める意見をつけています。
台湾では去年、中国が関与するスパイ事件で64人が起訴されるなど頼政権は警戒を強めていますが、中国による浸透工作が政権中枢に及んでいたとして懸念が広がっています。【6月11日 日テレNEWS】
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政権側は潜在的な中国シンパ(支持者)を一掃するため、数十万人の軍人、公立学校の教師ら公務員を対象に調査を実施しています。
****台湾、中国のスパイ・浸透工作への対応強化 軍人・公務員を調査****
中国政府が台湾におけるスパイ活動を強化する中、台湾は潜在的な中国シンパ(支持者)を一掃するため、数十万人の軍人、公立学校の教師ら公務員を対象に調査を実施している。
中国は台湾を領土の一部だと主張し、武力による併合も辞さない構えを見せており、台湾では中国による浸透工作の規模に対する懸念が高まっている。
検察は先週、与党・民主進歩党(民進党)を最近除名された元党員4人(総統府の元職員1人を含む)を、国家機密を中国政府に漏洩(ろうえい)した罪で起訴した。
台湾と中国は数十年にわたりスパイ合戦を繰り広げてきたが、アナリストたちは、中国による攻撃のリスクを考えると、台湾への脅威はより深刻だと警告している。
中国による浸透工作の主な標的は、退役軍人や現役軍人で、金銭、脅迫、あるいは親中国思想によって屈服させている。
台湾の主権を公然と訴え、中国政府に嫌悪されている頼清徳総統は、中国を「境外敵対勢力」と位置づけ、国家安全保障を脅かすとされる中国の活動について、台湾人の意識を高めようと努めている。
近年、中国スパイとして起訴される人の数が急増していることを受け、台湾政府は省庁、軍、公立学校の内部において、中国政府に忠誠を誓っている疑いのある人物を特定しようとしている。
公務員が中国の居住許可証などの身分証明書を所持していることが判明した場合、台湾の戸籍、つまり事実上の国籍(市民権)を失うリスクがある。
民進党の王定宇議員はAFPに対し、「中国がこうした手段を使って台湾国民を強制的に従わせ、公務員制度を中心とする台湾の制度に浸透しようとしているため、(中国の身分証明書の)調査を開始した」「脅威はますます深刻化しており、われわれはこれに対処しなければならない」と語った。
■一般市民は調査の対象外
最近行われた1回目の調査では、調査対象者のほぼ全員に当たる37万1203人が、台湾の法律で禁止されている中国の身分証明書を所持していないことを宣誓する旨を示した文書に署名した。(中略)
現在2回目の調査が行われているが、台湾政府は一般市民を対象とすることはないとしている。
昨年、ユーチューブ動画で台湾人が中国の身分証明書を所持している事例が数万件報告されたのを受け、懸念が高まっていた。
台湾治安当局の高官は、中国が台湾出身者に発行する身分証明書の数が最近増加しているが、中国政府の協力なしにその数を推定したり、違反者を追跡したりすることは「困難」だと説明。
中国の狙いは、「台湾国民を自国の法的枠組みの下で中国国民として定義すること」だという。(中略)
台湾はまた、中国人配偶者とその中国生まれの子ども約1万人対し、中国の戸籍を放棄したことの証明を求めている。これは台湾法で数十年前から義務付けられているものだ。
これらの通知は政府の強引さを批判する声を呼んだが、王議員は、中国からの「新移民」の一部は中国政府のためにスパイ活動を行い、台湾の選挙に干渉しているため、より厳格な執行が必要だと強調した。 【6月19日 AFP】
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