
(【2018年5月1日 SPUTNIK】 対戦車ミサイル「ジャベリン」 アメリカはウクライナに2018年に供与 最近ウクライナ軍は東部ドネツク州でこのジャベリンの射撃訓練を行いロシアを牽制しています。また、ウクライナ軍はトルコ製ドローンも親ロシア派攻撃に使用しています。最新兵器への過信はジョージアの二の舞の危険も)
【懸念される緊張下での不測の事態】
後述のように、若干の動きは見られるものの、現在もギリギリの緊張が続いています。
そうした状況で、いかにプーチン大統領がNATOに不信感を抱いているとはいえ、あるいは国内求心力を高めるためには軍事的「有事」が最高の戦略とはいえ、一部で言われているような「年明け1月にもウクライナへ軍事侵攻」といった作戦はロシアにとってもリスクが大き過ぎ、個人的には賢明でも現実的でもないと思います。
ただし、下記のようなニュースを目にすると、「突発的な不測の事態」の危険性も否定できないように思えます。
地元警察は捜査に着手した。リビウはポーランドと歴史的なつながりも深く、反露感情が根強いことで知られる。【12月25日 読売】
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今回は人的被害などなかったようですが、仮にロシア人職員に被害があったときは・・・背筋が寒くなります。
今日言いたかったのはそれだけですが、一応ここ数日の状況を簡単に整理しておきます。
ウクライナ国境付近に大規模部隊を集結させるロシアは、さらに米国が盟主の北大西洋条約機構(NATO)の弱体化を図る要求を突きつけた。ロシアとの衝突を避けたい米・NATO側は主導権を奪われる形で外交交渉に臨まざるを得ない状況に追い込まれた。
露メディアによると、ラブロフ露外相は22日、来年1月初めにも米国とNATOがそれぞれ、ロシアと協議すると明らかにした。議題は、露側が17日に公表したロシアの「安全保障」に関する要求だ。米国とNATOもおおむね協議の見通しを示している。
要求内容は事実上、①ウクライナなど旧ソ連構成国の今後のNATO加盟拒否②ポーランドやバルト三国など旧共産圏に展開中のNATO部隊の撤収③欧州に配備した米国の核兵器の撤去などで、露側は米国、NATOとそれぞれ条約、協定として締結するように求めている。
NATOは東西冷戦後の1997年、敵対関係を終わらせる基本文書に署名。東欧に恒久的な大規模戦力を追加配備しないとした。その後、東方に加盟国を拡大。2014年のロシアによるウクライナ・クリミアの併合後にはポーランドなど東欧に部隊を常駐させ、ロシアが反発していた。
米国は現在、中国対応に注力するためにロシアとは「予測可能な関係」を築くことを目指し、中露との二正面競争を避けようと腐心しているのが実情だ。
バイデン大統領は今月上旬、露軍がウクライナに侵攻した場合、同国に米軍を派遣する可能性を問われ、「ウクライナは(NATOの集団防衛の義務の)範囲外」と否定。ウクライナが希望するNATO加盟にもかねて否定的見解を示してきた。ロシアを刺激しないためであり、米側は欧州側による主体的な関与への期待も強いとみられる。
ただ、欧州もロシアに強く出られない事情がある。イタリアのドラギ首相はロシアのウクライナ侵攻に懐疑的な見方を示すが、ロシアへの不信が強いリトアニアは「本当に戦争の準備を進めている」(ランズベルギス外相)と強調。各国に温度差がある中で、侵攻時の厳しい経済制裁などで連携できるかが疑問が残る。
欧州には価格が高騰する天然ガスの輸入をロシアに大きく依存している弱点もある。米国はロシアによるウクライナ侵攻時には、建設が終えた独露間のガス・パイプライン「ノルドストリーム2」の稼働阻止も検討するが、ドイツのショルツ首相は16日、「民間のプロジェクトだ」とし、稼働承認手続きは政治と関係がないとの認識を示した。【12月23日 産経】
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ロシアのプーチン大統領は23日、年末恒例の記者会見を開いた。
ウクライナ情勢を巡って米欧との軍事的緊張が高まる状況について「紛争を望んでいない」と語る一方、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を「受け入れられない」と改めて主張。米欧に対し「我々に(安全の)保障を与えなければならない。今、すぐにだ」と迫った。
プーチン氏は会見で、冷戦終結後にNATOが東欧諸国に拡大してきたことについて「だまされた」と述べ、米欧を改めて批判。「我々は米国の国境にミサイルを配備したか。違う。米国が自分のミサイルを持って我々の家の近くまで来た」と訴えた。
一方でプーチン氏は、米国との安保問題に関する実務者協議が2022年1月初めに開催されることへの期待を表明。「今のところは(米国が)前向きな反応を示している」と語り、「ボールは彼ら(米欧)の側にある」としてロシアの提案への早期回答を求めた。
ロシアが支援する親露派武装勢力との紛争が続くウクライナのゼレンスキー政権については「極右勢力の影響下に陥った」と述べた。ロシアはウクライナ国境周辺に部隊を集結させているが、プーチン氏はウクライナが「軍事作戦の準備をしている」と主張。ゼレンスキー政権と友好関係を築くのは「不可能だ」とし、直接の和平協議には否定的な考えを示した。(後略)【12月24日 毎日】
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【バイデン大統領 米軍を一方的に派遣することは「検討していない」】
状況をBBCは以下のように解説しています。
ロシアがウクライナ南部の一部を併合し、同国東部の広い範囲で紛争を起こした「分離派」を支援したのは、つい7年前のことだ。
ロシアは現在、軍事行動をちらつかせている。これに対しアメリカは、ロシアが侵攻すれば、前例のない規模の制裁で報復すると言明している。衝突が起こるリスクはどれくらい深刻なのか。(中略)
侵攻は現実的なのか
ウクライナ東部における衝突は、2020年の停戦合意をよそに、今も続いている。
最も懸念されているのは、ウクライナ国境の外側にいるロシア軍だ。その規模は最大10万人に達すると、西側の情報当局はみている。
差し迫った脅威は感じられない。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が侵攻を決断したわけでもない。ただプーチン氏は、彼の言う「西側の攻撃的な姿勢」が続けば、「相応の報復的な軍事技術措置」を取ると表明している。
ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、緊張悪化によっては、1962年のキューバ・ミサイル危機のような状況に陥ると警告している。(中略)
米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は、プーチン大統領が「ロシアの軍と治安部隊を、一気に動ける場所に配置している」とみている。
こうしたロシアの動きは、自国の裏庭からNATO軍を追い払うための、ポーズに過ぎない可能性もある。
今年4月にも似たような状況があった。ロシア部隊の小規模な移動が確認されたが、ロシアは単なる訓練だと言い、その後に撤収した(ただ、部隊の一部しか撤収していないとみる専門家もいる)。目立った譲歩はなかった。
ロシアの主張
ロシアはまた、NATOの国々がウクライナに武器を「大量供給」していると批判を重ねている。プーチン氏は、緊張をあおっているのはアメリカの方だと非難し、ロシアには「これ以上後退できる場所などない。我々がただ手をこまねいて座視するとでも(アメリカは)思っているのか」と述べた。
ロシアのこの言い分は、軍事行動の正当化にもなり得る。(中略)
ロシアの思惑
ロシアはNATOに対して、東欧での軍事活動を中止するよう要求している。これは、NATOがポーランドやバルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)から部隊を撤収させ、ポーランドやルーマニアなどの国々にミサイルを配備しないことを意味する。
ロシアは、自国が支援するウクライナ東部の勢力に対してウクライナがトルコのドローンを飛ばしていることや、黒海で西側が軍事演習をしていることを懸念している。プーチン氏の目には、「自分たちの家の玄関先で」アメリカがウクライナに軍事支援を行っていると映っている。
ロシアはまた、ウクライナ東部の紛争停止を目的とした2015年のミンスク和平合意がほとんど履行されていないとして、不満を募らせている。分離派が優勢な地域では、独立監視団を受け入れた選挙がまだ予定されていない。
紛争の長期化について、ロシアが原因の一部となっているとの批判があるが、ロシアはこの見方を否定している。
イギリスは、ウクライナの2カ所で海軍基地建設の支援を予定している。黒海のオチャキフと、アゾフ海のベルジャンスクだ。アメリカは、対戦車ミサイル「ジャヴェリン」をウクライナに供給。米沿岸警備隊の警戒艇2隻もウクライナ海軍に提供している。
西側はウクライナのためどこまでやるのか
ただバイデン氏は、米軍を一方的に派遣することは「検討していない」とも強調した。
ウクライナは、自力で自衛する準備はできていると言う。「この戦争は自分たちで戦う」と、ドミトロ・クレバ外相は述べた。
西側にとって最大の武器は、制裁措置とウクライナ軍に対する支援のようだ。イギリスのヴィッキー・フォード外務次官は、同国の当局が防衛支援の延長を検討しているとしている。
経済対策として最大のものは、ロシアの金融機関を国際決済システム「スイフト」から切り離すと脅すことかもしれない。常に最後の策と考えられてきたが、ロシア政府に強いメッセージを送ることになると、ラトヴィアは支持している。
もう1つロシアに圧力をかける重要手段としては、ドイツを通るガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」を開通させないというものがある。同パイプラインをめぐっては現在、ドイツのエネルギー規制当局が承認について検討中だ。ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は、ロシアが今後さらに事態を悪化させるようなら、「このガスパイプラインは稼働できないかもしれない」と明言している。
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【ロシア軍徹種はあくまでも一部】
こうした状況で、ロシアは部隊の一部を撤収。
米国や北大西洋条約機構(NATO)がロシアによるウクライナ侵攻を警戒している問題で、ロシア軍の南部軍管区は25日、ウクライナ国境周辺を含む地域で「訓練」を行っていた部隊1万人以上を撤収させると発表した。インタファクス通信が伝えた。(中略)
発表によると、同軍管区は1カ月にわたり、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島やウクライナ国境付近を含む地域で訓練を実施。「訓練は完了した。1万人以上の兵員が本来の配備地点に帰還中だ」とした。
ロシアは今年秋以降、ウクライナ周辺に9万人規模の兵力を集結させ、NATO側が侵攻を警戒。ロシア側は兵力集結の事実や侵攻の意図を否定する一方、自国内での部隊移動は自由だとも主張してきた。【12月25日 産経】
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この撤収については、“ロシアの安全保障に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教は「ロシア軍は、全体で10万人や12万人と推定されており、そのうち1万人が撤収することは評価できるかもしれないが、ウクライナ周辺にロシア軍が多く集結している状況は変わらない」と述べ、直ちに緊張緩和にはつながらないという見方を示しました。”【12月27日 NHK】とも。
NATOロシア理事会は2002年に設立されたNATO加盟国とロシアとの対話の枠組み。開催すれば2年半ぶりとなる。タス通信はロシア外務省当局者の話として、理事会開催の提案についてロシアが「検討している」と伝えた。(中略)
米国のブリンケン国務長官は22日、EUのボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)と電話協議し、米欧の協調や、対話を通じた問題解決の重要性を確認した。ただ、ロシアの軍事的脅威を警戒する東欧諸国などは、ロシアに対し強硬姿勢を取るよう求めており、協議を巡ってはNATO内でも温度差があるとみられる。【12月27日 毎日】
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キューバ危機再来となるのか、不測の事態が起きるのか、双方が矛を収めるのか・・・未だ不透明です。