lonelylika’s diary

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ

イギリス  コロナワクチンに関しては、EUの規制を抜けたことでハイペースのワクチン接種を実現

(【2月17日 NHK】)

 

ブレグジットによる物流混乱 今のところは限定的か】

イギリスが経過措置を終了してEUからの実質的完全離脱してひと月半以上が経過しますが、当然に物流の混乱はあるものの、それほど大騒ぎになるほどでもないようで、あまり多くの報道はなされていません。(世の中はコロナ騒ぎ・ワクチン接種開始で、それどころではないという面もあるのでしょうが)

 

****英 EUとの新関係 始まって1か月 物流などに混乱も****

イギリスとEUヨーロッパ連合との間で自由貿易協定などに基づいた新たな関係が始まってから1か月となります。人やモノが自由に移動できた環境が一変したことで、物流などに混乱が起きています。(中略)

双方の貿易には、通関手続きが発生して中身や数量の申告が必要になるなど手間やコストがかかるようになりました。

企業の間ではEUへの輸出を見直す動きが出ていて、このうちイギリス南部にある化学製品を扱う会社は、ことしからEUの顧客向けの配送をイギリスからでなく、EU加盟国のポーランドの拠点からに切り替えました。

また、水産業では、手続きに時間がかかり魚介類を新鮮な状態で届けられなくなるとして、EUへの輸出を中断するケースも出ています。

イギリスでは変異した新型コロナウイルスの感染拡大で企業活動への制限が長引いているだけに、物流などの混乱が経済へのさらなる打撃になるとの懸念が出ています。(中略)

EU向けの輸出 見直した企業も

イギリスには、新たに生じた通関手続きで手間やコストがかかるなどとしてEU向けの輸出を見直した企業があります。

化粧品の原料となる化学製品をアジアやアメリカなどから仕入れて販売している会社は、去年までEUの顧客にはイギリス南部にある本社の倉庫からトラックで配送をしてきましたが、ことしからはEU加盟国のポーランドにある拠点から行うようになりました。

結果としてイギリスの本社で取り扱う化学製品は半減し、従業員を減らさざるをえませんでした。(中略)

 

EU側の企業もコスト増のおそれ

EU側の企業でも影響が出ています。

自動車産業が盛んなオーストリア南部のグラーツ近郊にある日本企業のグループ会社は、自動車部品の輸送に使われる段ボールを製造しています。使用する素材は、(中略)イギリスから輸入しています。

しかし、ことしから始まった通関手続きに時間がかかり、イギリスとEUとの境界付近でトラックが足止めされるなど、輸送に以前の倍以上の時間がかかると見込まれています。

このため、経費が20%以上増えるおそれがあるとみていて、アグロン・ガリムナ支社長は「われわれのプロジェクトや顧客を失ってしまうおそれもある。貿易協定が結ばれても、イギリスのEU離脱で今も影響を受けている」と話しています。

また、オーストリア自動車産業などおよそ300の企業が加盟する業界団体のトップ、クリスタ・ゼンゲラー氏は「自動車産業にとって、イギリスは市場であるとともに製造拠点でもあるため、影響が大きい。EU内でイギリスは強固な地位にあったが、われわれにとってイギリスの影響力は将来、低下すると思う」と話しています。【1月31日 NHK

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上記記事にあるように、影響はイギリス側だけでなく、EU側にも出ています。

 

****スーパーの棚が空に……ブレグジットEUにイギリス製品が届かない現状****

欧州連合EU)加盟国各地にあるイギリス製品スーパーが、ブレグジット(イギリスのEU離脱)の影響で苦境に立たされている。

 

フランスの「マークス・アンド・スペンサー(M&S)」、英領ジブラルタルの「モリソンズ」、そしてベルギーの英国スーパー「ストーンマナー」などには昨年12月以降、イギリスから来るはずの配達便が届いていない。

 

ブレグジット後の新たな通商ルールでは、各製品ごとに関税の書類を作成しなければならず、その業務が終わらないからだという。【2月10日 BBC

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イギリスの国家的統一性への影響の指摘もあります。

 

****北アイルランドに統合機運****

英国産の品不足は英領の北ア(北アイルランド)でも起きた。

 

北アはEU加盟国アイルランドとの国境開放を維持するため、完全離脱後も物品の規制などに関してはEU単一市場のルールを引き続き採用。海を隔てた英本土からの物品輸送は、EUへの輸出と似た通関手続きが必要になった。

 

北ア東部バリークレアで有機野菜を販売するパトリシア・ギルバートさんは「英本土から商品がほとんど届かない。今後は通関手続きがないアイルランドや他のEU加盟国に頼る」と話す。英メディアによると、北アでは英本土からの仕入れを見直す業者が相次ぐ。

 

北アのアイルランドからの分離を定めた条約の成立から今年で100年。紛争を経て1998年に結んだ和平合意で両地域の結び付きは強まっており、英ダラム大のイーファ・オドノヒュー教授(法理論)は「北アでは離脱問題が生じた5年ほど前から、アイルランドとの再統合の議論が再燃している。経済の一体化が進めば、統合機運はさらに高まる」と指摘する。【2月1日 東京】

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以前から分離独立を志向しているスコットランドも、これを機に分離独立運動が高まり、再び住民投票を求める動きもあるようです。

 

ただ、北アイルランドにしても、スコットランドにしても、直ちに大きな政治運動に発展する段階にはなく、「これから」の話のように思えます。

 

【英 長期的には太平洋に重心移す戦略】

短期的な混乱の大きい・小さいは別にして、イギリスとしてはこれまでの経済・国際関係に占めていたEUの比重を他にシフトして行かねば・・・という長期的問題意識はあります。

 

そこで注目されるのが、日本などが主導するTPPです。

 

****英、太平洋に重心移す EU離脱からTPPへ****

英国が環太平洋連携協定(TPP)への参加を正式に申請した。昨年1月末の欧州連合(EU)離脱から丸1年。英政府は欧州からインド太平洋へと経済・外交の重心を移す姿勢を明確にした。

 

「英国は太平洋のプレーヤーとなる用意ができている」。トラス国際貿易相は2月1日付のデーリー・テレグラフ紙への寄稿でこう強調した。ジョンソン政権にとっての悲願だったEU離脱を成し遂げ、昨年末には激変緩和の「移行期間」も終了。名実ともに自由を手にした後の一手がTPP参加申請だった。
 

英政府は布石も打ってきた。昨年末までに日本やカナダ、メキシコ、ベトナムなどTPP参加国と優先的に2国間貿易協定を締結。11カ国の閣僚級とオンライン会合を開くなど、TPP参加に意欲的な韓国などと比べても積極的な姿勢が際立っていた。
 

英国のインド太平洋重視は貿易だけではない。今年議長国を務める先進7カ国(G7)のサミットにはインドと韓国、オーストラリアの3カ国を招待。ジョンソン首相周辺は記者団に「民主的な価値観を共有するインド太平洋の重要な国として選んだ」と説明し、外交でもこの地域への関与を強めたい考えだ。
 

背景には、高い成長力の取り込みなどの経済的な事情に加え、ロシアや中国を封じ込める狙いがある。英米貿易協議が難航する中、米国がTPP復帰を優先するとの読みもある。そこには、EU離脱後に国際的存在感を高めたいという大国意識が見え隠れする。
 

しかし、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のロビン・ニブレット所長は「英国はミニチュアの大国として生まれ変わるのではなく、世界的課題を解決する仲介者となるべきだ」と指摘。日本や豪州との関係強化の必要性を訴えつつ、気候変動や景気回復などの課題で「英国が最も緊密に連携すべきはEUだ」とくぎを刺した。【2月2日 時事】

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EUはワクチン供給の停滞で輸出規制も 英は順調な接種「前例のない成果だ」】

話を離脱に伴う混乱に戻すと、イギリス側が懸念したのがワクチン供給の問題。

 

ワクチン供給が予定どおり進まないEU側が輸出規制を持ち出し、イギリスが自国への供給が阻害される恐れがあるとして懸念されましたが、さすがにEUとしてもワクチン輸出を実際に規制すると、イギリスだけでなく(日本を含めた)地域外から猛烈な反発が起きますので、今のところはこれも大きな問題とはなっていないようです。

 

****EU、英米や日本など21カ国へのワクチン輸出要請全て承認****

 欧州連合(EU)欧州委員会はこれまで、英国と米国、中国、日本などへの新型コロナウイルスワクチン輸出について全ての要請を承認している。報道官が11日明らかにした。


報道官によると、1月30日から今月10日までの間でEUは21カ国に対する37件のワクチン輸出を許可した。それぞれの案件で域内のどの工場からどれだけの規模で出荷されたかは、機密保持を理由に公表していない。(中略)


EUはワクチン輸出を制限していると批判を浴びている中で、積極的に輸出を認める姿勢をアピールしているとみられる。【2月12日 ロイター】

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EUが輸出規制を持ち出した背景にはEU側のワクチン供給がうまくいっていない問題がありますが、反対にイギリスはイスラエルに次ぐハイペースでワクチン接種を進めています。

 

****英国、1500万人超に接種 コロナワクチン、人口の2割超****

英政府は14日、国内で人口の2割超に当たる1500万人超が新型コロナウイルス感染症のワクチンを少なくとも1回接種したと発表した。ジョンソン首相はツイッターに「驚くべき偉業」と投稿、医療従事者やワクチン製造工場の従業員など、接種を可能にした人々や接種を受けた国民に感謝を述べた。

 

死者数が欧州最多の英国は昨年12月、日米欧で初めてワクチンの接種を開始。感染した場合に重症化するリスクが高い70歳以上の全ての高齢者らに、1回目の接種を今月半ばまでに打診するとの目標を設定していた。今後は5月までに50歳以上、秋までに全成人への接種を目指す方針。【2月15日 共同】

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****英国のワクチン接種、9月までには全成人で完了の見通し*****

英国の新型コロナウイルスワクチン対策本部のトップは16日、スカイニュースとのインタビューで、複数の製薬会社からワクチンを調達しているため、8月か9月までには国内の全ての成人が2度のワクチン接種を終えることが可能だとの見方を示した。(後略)【2月17日 ロイター】

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このワクチン供給に関する限りは、(自国第一の立場で言えば)イギリスはEU離脱のメリットを最大限に活かしていると言えます。

もしEUに残存じていれば、EUの枠内で制約されますので、今のような接種状況はありませんでした。

 

(特定国が他の国々に先んじてワクチンを大量に確保するということが、全世界的に見て妥当な行為かどうか・・・という問題はあります。)

 

****ワクチン争奪戦、欧州明暗 新型コロナ****

日本に先駆けて新型コロナのワクチン接種が欧州全域で始まって2カ月近くが経った。順調に接種が進む英国に対して、欧州連合(EU)ではワクチン供給が遅れ、ロシア製に目を向ける加盟国も出始めた。

 

EUは域内で生産したワクチンの輸出許可制を導入しており、状況次第では日本にも影響が及びかねない。

 

 ■巨額投じ迅速に入手 英

「前例のない成果だ」

 

英国のジョンソン首相は15日、順調なワクチン接種の現状を誇り、関係者をねぎらった。英国では前日、目標日程を1日前倒しして、70歳以上の高齢者や医療従事者ら1500万人への接種を完了した。

 

準備は素早く綿密だった。昨年5月、首相肝いりの「ワクチン特命部隊」トップに元生化学者のベンチャーキャピタリストが就任。オックスフォード大とアストラゼネカの国産ワクチン開発に6550万ポンド(約96億円)を投資して優先供給の約束を取り付けた。

 

民間出身メンバーが有望なワクチン候補を洗い出し、個人的つながりも生かして個別交渉に持ち込んだ。米ファイザー製を含め計7種類を確保。

 

スピード重視で購入や製造などに120億ポンド(1兆7620億円)の巨額を投じ、3億6700万回分をおさえた。単純計算で人口の5倍以上に相当する。

 

EUの共同調達の枠組みには加わらなかったことも吉と出た。EU離脱後の移行期間中で参加は可能だったが、意思決定の遅れを警戒した。実際、EUが条件でもたつく間に先行した。

 

ワクチンとの関係ははっきりしないが、一時は1日6万人を超えた新規感染者は1万3千人程度に下がってきた。死者数も1月下旬のピークの約半分の600人程度になっている。

 

 ■遅れ、独自確保模索も EU

出遅れたのはEUだ。欧州委員会が加盟国を代表して確保したワクチンは、承認済みの3種だけで計約12億回分に上る。だが実際に接種が始まると、次々に供給の遅れが出た。

 

とりわけ英アストラゼネカの遅れが目立つ。3月までの供給量を900万回分増やして4千万回に増やす方針だとEU側に伝えたが、それでも、当初予定の3分の1にすぎない。フォンデアライエン欧州委員長は「(製薬会社と)ワクチン開発に力を注いできたが、大量生産の難しさを過小評価していた」と語る。

 

加盟国からは、ワクチン争奪競争に負けたのではとの批判も相次いだ。アストラゼネカが契約の順番などを理由に「英国優先」の姿勢を示したこともあり、EUは1月末、域内でつくられたワクチンの「輸出管理」に踏み切った。

 

契約通りの供給を確保するため、域外への輸出には数量を報告させて許可を出す仕組みだ。EUは「公平な配分のために、透明性を高める措置だ」と説明。

 

日本やカナダ向けの出荷も認められた。ただ、EU高官は、生産が遅れ、出荷可能なワクチンの大半がEU外に渡るような場合は、輸出を認めないという。

 

EUが独占する事態にはならないが、生産が滞れば必然的に輸出に回る量も減る見込みだ。状況次第では日本にも影響が及びかねない。

 

加盟国の中には、一刻も早いワクチンの供給を求める国内世論に押され、独自確保への動きもある。選択肢として注目されているのが、ロシア製ワクチン「スプートニクV」だ。

 

マクロン仏大統領は今月、「これは政治ではなくて科学的な決定だ」と断った上で、安全性が認められれば導入する考えを示した。マクロン氏は、昨年春にマスクや人工呼吸器が不足した反省から、ワクチンの自国での開発を柱に「衛生の主権を取り戻す」と訴えていた。だが、計画の遅れから、なりふり構わずワクチンをかき集める方策に転じた格好だ。

 

オーストリアもロシア製や中国製のワクチンが欧州で承認されれば、国内でも生産する意向を示す。クルツ首相はメディアに「誰がつくっているかはともかく、できるだけ早く安全なワクチンを手に入れることがすべてだ」と発言。ロシア製のワクチンも選択肢に含める考えを示した。

 

ドイツは、EUの調達の枠組みで達成可能だというが、ロシア製ワクチンがEUで承認されれば、ドイツ内での生産も可能だとの立場だ。メルケル首相は「大きな政治的違いがあるにもかかわらず、一緒に働くことができる」と述べた。

 

ハンガリーは、ロシア製と中国製のワクチンを独自に承認。ロシア製の接種をすでに始め、中国製も近く始めるという。(後略)【2月17日 朝日】

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【加速を狙うアメリカ 遅れが目立つ日本】

アメリカ・バイデン政権も、ワクチン接種を加速させる構えです。

 

****米、7月末までにワクチン普及 全国民に、バイデン大統領****

バイデン米大統領は16日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーでCNNテレビが主催する対話集会に参加した。新型コロナウイルスへの対応について国民の質問に答えて「7月末までに全国民にワクチンを行き渡らせる」と説明し、最優先課題の新型コロナ対策を超党派で進める必要性をアピールした。

 

バイデン氏は集会で、接種の態勢充実や、学校の早期再開に向けた換気設備の増設を急ぐと強調した。ワクチンの普及が順調に進めば「次のクリスマスまでに、私たちを取り巻く状況は大きく変わるだろう」と述べ、事態が正常化に近づくとの見通しを示した。【2月17日 共同】

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先進国の中でEU以上に立ち遅れが目立つのが日本。今日から先行接種がようやく始まったのは周知のところ。

 

*****ワクチンなぜ遅れた? 首相「早くならないか何回と…」*****

(中略)長妻氏はワクチンの接種開始が欧米に比べてなぜ遅れたのか、首相の口から説明するように求めた。

 

首相は「私自身も早くならないか、何回となく厚労省や関係者と打ち合わせをした」と明かしたうえで、「我が国は欧米諸国と比較して感染者数が1桁以上少なく、治験の発症者数が集まらず、結果が出るまでかなりの時間を要する」「ワクチン(への反応)は人種差が想定される。欧米諸国の治験データのみで判断するのではなく、日本人を対象にした一定の治験を行う必要がある」と説明した。【2月17日 朝日】

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接種開始が遅れただけでなく、“政府関係者は「医療従事者までは日程のめどがついているが、その後は見通せない」”【2月17日 NHK】と、4月以降の高齢者接種などに必要なワクチンを確保できるのか不透明なこともまた周知のところです。