
(2013年9月 チャドの首都ヌジャメナのマーケット その他写真で見ても、多くの女性はスカーフは着用していますが、目だけを出したニガブや、アフガニスタンでよく目にするようなブルカは例外的なようにも見えます。 “flickr”より By Ilya Varlamov https://www.flickr.com/photos/varlamov/9617724502/in/photolist-fDTmqf-USTbR-aL87s2-84g5Va-oF6UQP-gK4x4y-5GKGb-fDAKZk-bGmc5c-bKURhB-66NP1m-66Ju2a-phAK1T-ieBTUm-9sG6DM-a6yLfw-fKT2xX-boij9S-bmdmR3-5r1wDJ-8jr2kJ-fGdpC-be1pKa-5GKGf-bVchFu-5nyKw9-i31hnp-xMFpM-4gLoM-fQhEwm-7gihHe-7S3SQ7-7RZCLc-7S3SNQ-7S3SWj-fQhEQu-fLaLdq-i2ZHjw-9pJfmP-26gBak-bUUSH-bUUSK-i31faZ-pfpnVW-hnQwR-hhirpy-bpDP6u-hhirXs-hhjoxP-bUTiP)
【イスラム国チャドで、あっさりとブルカ着用禁止】
アフリカのチャドの話。
数日前に取り上げたエリトリアほどではないにせよ、やはり馴染みの少ない国です。
2008年2月はダルフール絡みで、隣国スーダンとそれぞれが相手の反政府勢力を支持しており、首都ヌジャメナへ反政府勢力が侵攻した事件が国際的に注目されました。
また、砂漠化の進行で、琵琶湖の40倍の広さがあったチャド湖がこの40年で水面が20分の1に減少し、消滅の危機にあることも報じられています。
長く続いた干ばつの影響と、流域の人口増加や大規模な農地開発に伴う水需要の増加が原因と指摘されています。
最近では、ナイジェリアのイスラム過激派「ボコ・ハラム」に対する、ナイジェリア・ニジェール・カメルーンと協力した掃討作戦でよく登場します。
チャドは、イドリス・デビ大統領が憲法の再選規定を撤廃して権力を維持しており、汚職ランキングで世界最下位という報告もあります。
経済的にも困難な状況にあります。
“経済不振の原因として、長年の内戦状態と交通網の不整備がある。道路網はほとんど未舗装であり、雨季には使用できなくなる。またチャド湖に繋がる河川は水上交通として利用されるが、こちらは近年の砂漠化の進行で、雨季の限られた期間しか船舶の通行ができない。アメリカのシンクタンクによれば、2010年度の失敗国家ランキング第2位に終わった。”【ウィキペディア】
ただ、実戦経験豊富な軍隊は強いようで、周辺国に越境した上記「ボコ・ハラム」掃討作戦ではその真価を発揮し、ボコ・ハラムから支配地域を奪還する立役者にもなっています。
そうなると、ボコ・ハラムからの報復攻撃も懸念されます。
****<チャド>首都で爆発、23人死亡…ボコ・ハラム犯行か****
アフリカ中部チャドからの報道によると、首都ヌジャメナで15日、警察施設2カ所で自爆テロとみられる爆発が相次いで発生し、23人が死亡し100人以上が負傷した。
犯行声明は出ていないが、チャド政府高官は、隣国ナイジェリア北東部でテロ攻撃を繰り返すイスラム過激派ボコ・ハラムの犯行と見ている。ボコ・ハラムの攻撃とすれば、他国の首都での初の大規模テロとみられ、攻撃拡大が懸念される。
AFP通信などによると、ヌジャメナの警察本部と警察学校の建物付近で爆発が起きた。自爆犯は計4人で、バイクに乗っていたとの情報もある。
ロイター通信によると、バカリ情報相が国営テレビで「ボコ・ハラムはチャドを標的にするというミスを犯した。無法なテロリストはどこにいようと放逐され、無力化される」とボコ・ハラム鎮圧を約束した。
ボコ・ハラムは昨年8月、イスラム国家樹立を宣言し、ナイジェリア北東部で支配地域を拡大。同12月にカメルーンへの攻撃を活発化させ、今年2月に入ってニジェール、チャドへの越境攻撃も開始した。チャドではチャド湖沿岸の漁村がボコ・ハラム戦闘員たちに焼き払われる被害などが出ていた。
チャド、ニジェールは今年2月以降、ナイジェリア領内に進攻し、ボコ・ハラム掃討作戦を展開。ナイジェリア軍と協力し、ボコ・ハラムの支配地域を徐々に奪還していた。
ナイジェリアでは先月末、ボコ・ハラム鎮圧を最優先課題に挙げるブハリ大統領が就任。
今月11日にはナイジェリア▽チャド▽ニジェール▽カメルーン▽ベナン−−の5カ国によるボコ・ハラム掃討目的の合同部隊発足と部隊本部のヌジャメナ設置で正式合意したばかり。
今回のヌジャメナでの連続テロは、ボコ・ハラムがこの5カ国の動きをけん制する目的で行った可能性もある。【6月16日 毎日】
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犯行声明はまだ出ていませんが、イドリス・デビ政権のボコ・ハラムへの怒りに火が付いたようにも見えます。
テロ対策として、「ブルカ」着用を全土で禁じるという命令を出しています。
****チャド、「ブルカ」着用を全土で禁止 ボコ・ハラムの攻撃を警戒****
アフリカ中部チャドの政府は17日、首都で起きた連続自爆攻撃で33人が死亡した事件を受けて、イスラム教徒の女性が着用する顔まで完全に覆うベールやブルカを全土で禁止し、市場からも全て押収して焼却するよう治安当局に命じた。
チャドはイスラム教徒が多数を占める。
15日に首都ヌジャメナで起きた連続自爆攻撃では、隣国ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の関与が疑われている。
ボコ・ハラムは、爆発物を衣服の下に隠し持った女性に自爆攻撃を実行させている。
「ブルカの着用は本日から禁止する。公共の場所や学校だけではなく、国内のあらゆる場所においてだ」とカルズーベ・パイミドゥベ首相は述べ、モスクや教会、聖地などで拡散するよう宗教指導者たちに要請した。
パイミドゥベ首相によると、目の部分だけを見せるタイプの衣服は例外なく「カモフラージュ目的」とみなし、着用する人物がいれば「逮捕して、略式手続で起訴し判決を下す」という。
15日の連続自爆攻撃では33人が死亡し、100人以上が負傷した。チャドの首都で連続自爆攻撃が起きたのは初めて。【6月18日 AFP】
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イスラム教徒女性のブルカ着用は、フランス・ベルギー・オランダ・スイスといった欧州で問題となり、着用を制限する法律が成立していますが、信教の自由を侵害するのではないか・・・といった論議もあります。
一方で、イスラム国チャドがあっさりと着用禁止にしてしまったことが、非常に興味深いところです。
もっとも、チャドは“宗教はイスラームが51%、キリスト教が35%、アニミズムが7%、その他(ブードゥー教、バハーイー教、エホバの証人)が7%である。国土の大部分がイスラム教徒の多数派地域だが、人口は、南部の非イスラム教徒多数派地域に集中している。そのため、国全体での割合から見ればイスラム教徒の比率はそれほど高くは無い。”【ウィキペディア】ということのようです。
【ボコ・ハラムを暴力へ追いやったものは・・・・】
ボコ・ハラムは支配地域は失いつつあるものの、テロ・襲撃は頻発しています。
掃討作戦でチャドと協力しているニジェールでも17日、2つの村がボコ・ハラムに襲われ、少なくとも38人が死亡したと伝えられています。【6月19日 CNNより】
ナイジェリアでは、けんかを装って人を集めたところで自爆するという、随分手の込んだことをやっています。
****ナイジェリアの市場で2人が自爆、けんか装い人集める****
ナイジェリア東部ヨラで4日、買い物客でにぎわう市場で、2人の男がけんかをしていると見せかけて自爆攻撃を仕掛け、少なくとも31人が死亡、38人が負傷した。地元警察が5日、明らかにした。
警察によると4日の日没後、男2人が市内の中心市場に入ってきて、けんかを始めた。けんかは近くにいる人たちを引き寄せるための見せかけで、2人は周囲に大勢の人たちが集まって来た頃合いを見計らって、体に巻き付けていた爆発物を爆破させた。
これまでのところ犯行声明は出ていないが、ヨラではイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の襲撃が相次いでいる。【6月6日 AFP】
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ボコ・ハラムが現在のような無軌道なテロ組織になったのは、軍による虐殺が契機となったとの指摘があります。
****イスラム組織ボコ・ハラム、一宗派から過激派への変貌****
ナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」は長い年月をかけてイスラム教の一宗派から、「イスラム国(IS)」に忠誠を誓う武装組織へと変貌を遂げた。過激派に転じて以降、破壊的な攻撃を繰り返し、地域の安定を脅かしている。
ボコ・ハラムという名称は、ナイジェリア北部で話されるハウサ語で「西洋の教育を禁じる」ことを意味する。この組織が目指しているのは、イスラム教の預言者ムハンマドの後継者「カリフ」が統治するカリフ制国家の樹立だ。
イスラム原理主義を支持したボコ・ハラムの創始者、モハメド・ユスフ師(09年に死亡)は、ナイジェリアが抱える問題は旧宗主国の英国がもたらした西洋的価値観に原因があると考えた。
ユスフはナイジェリア北東部ボルノ州の州都マイドゥグリで、イスラム教徒が多く住む地域の発展を怠った世俗政府を声高に批判し、政治に不満を抱いていた多くの若者を引き付けていった。
1990年代にはユスフがモスクで行っていた説教で信奉者を集めたが、一般的にボコ・ハラムが登場したのは、当局がユスフに注意を払い始めた02年と考えられている。
■「暴力への転落」
ボコ・ハラムの当初の活動はおおむね平和的だった。しかし09年、マイドゥグリでの暴動が軍との武力衝突に発展し、700人前後が死亡、モスクや本部が廃虚と化し、収監されていたユスフが射殺されると活動は一変した。
ボコ・ハラムは地下に潜伏し、生き残った幹部らは国外逃亡した先で、訓練を積んだ戦闘員による攻撃の必要性を確信したとされる。組織はイスラム法の適用という目標を越え、ナイジェリアの安定を暴力で揺るがすようになった。
ユスフの右腕だったアブバカル・シェカウ容疑者が新指導者となって以降、ボコ・ハラムは主にナイジェリア北東部の学校や教会、モスク、治安部隊や政府機関を標的とした攻撃を繰り返し、6年間で少なくとも1万5000人が犠牲となっている。(後略)【6月17日 AFP】
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【ボコ・ハラムから救出された少女が高い確率で妊娠、故郷に戻っても受け入れられず】
ナイジェリア軍はボコ・ハラムの拠点を急襲して女性や子どもを救出する作戦を展開。4月下旬から5月上旬にかけて700人あまりの女性を救出しました。
しかし、ボコ・ハラムから救出された少女が高い確率で妊娠しているという問題があります。
16歳でボコ・ハラムに拉致され、結婚を強要されて妊娠。生まれ育った村は放火や略奪の被害に遭った・・・・という、ボコ・ハラムから逃れてきたきた女性ハリーマさんは、今、恐怖を感じるのは、自分自身の村の男性たちだと語っています。
「この村の人たちは、妊娠を理由に私を拒絶する。私が死んだら喜ぶ人もいるだろう。中絶すべきだという人もたくさんいる」【6月17日 CNN】
****ボコ・ハラムに拉致され妊娠、救出後も疎外 被害女性が語る実態****
・・・・村の自警団の指導者はCNNの取材に対し、「この村にボコ・ハラムに妊娠させられた女性がいるとは認識していない」と話した。
「もし妊娠している女性が見つかれば、伝統に従ってその妊娠はハラム(不法)と見なされる。それを心から受け入れることはできない。言ってみればヘビの子どものようなものだから」
イスラム社会では、意思に反した妊娠であることを母親が証明できない限り、婚外妊娠は不法とみなされることがある。
ハリーマさんが結婚を強要されたという話は信じていないと自警団長は話し、母親も生まれて来る子どももずっと不信の目で見られるだろうと語った。自分たちがどう対応するかについては明言しなかった。
しかし他人に何を言われようと、拉致されて脱出し、生き延びた経験は自分に強さを与えてくれたとハリーマさん。生まれてくる子どもには生きる価値があると力を込めた。【6月17日 CNN】
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