lonelylika’s diary

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ

米韓合同訓練、日本海も含める形に変更  台頭する中国、南シナ海を「核心的利益」と位置付け


(中国海軍の艦船 “flickr”より By blue wing
http://www.flickr.com/photos/bluewing/110600364/)

【「中国の安全保障への挑戦」】
黄海で行われることが予定されていた米空母も参加する米韓合同演習について、中国が激しく反発、その成り行きが注目されていました。

3月の韓国哨戒艦沈没事件について国際調査団は5月、「北朝鮮の魚雷攻撃」と断定。これを受けて韓国は黄海での米韓合同訓練を発表しました。この合同訓練には神奈川県の米軍横須賀基地に配備されている原子力空母「ジョージ・ワシントン」の参加すると言われています。
しかし、中国は北京など華北地区の「玄関口」にあたる黄海での訓練に敏感に反応しています。

****中国の圧力 韓国は反発 大幅遅れの米韓合同演習 黄海から変更か*****
・・・・韓国政府内には国連安保理など外交的配慮からやむなしの声がある一方、マスコミ論調などでは「中国の干渉は主権侵害」と反発、あらためて反中国感情を刺激されている。
・・・・米韓合同演習については韓国国防相が5月24日、哨戒艦事件が起きた同じ海域の黄海を舞台に、北朝鮮への警告、制裁の一環として実施すると発表。演習には日本を基地にする空母「ジョージ・ワシントン」をはじめ米第7艦隊の主力が参加し、対潜水艦作戦を中心に韓国海軍と大規模演習を行う予定だった。
しかし米韓はその後、対北非難を目指す国連安保理で中国を巻き込むため、外交的配慮から演習を延期したまま、時期を決めるにいたっていない。

しかし最近になって中国が「中国近海への外国艦艇の進入は中国の安全を侵すものだ」と公式に反対を表明し、中国のメディアも「中国の安全保障への挑戦」「米中に海上衝突の危機」などと相次いで非難の報道をしたため、議論がわいている。
哨戒艦事件で北朝鮮を“擁護”し続ける中国に不満が強い韓国では「北朝鮮の挑発・攻撃に備える米韓演習にさえ中国はいちゃもんをつけている」との印象が強い。
韓国にとって黄海での演習中止は中国ひいては北朝鮮への“屈服”になる。このため米空母の日本海への“転進”はやむなしとしても、黄海での演習自体はなんとしても決行したい。
黄海日本海での分散実施案は「外交と軍事の折衷」というわけだが、韓国メディアは「韓国が自国の領海や隣接する公海で演習することに対し中国が文句をつけるのは主権侵害だ」(9日、東亜日報)とか、「われわれはあまりに中国を知らなかった」(7日、韓国日報)などと対中警戒をむき出しにしている。【7月14日 産経】
***************************

結局、この問題は訓練海域を黄海日本海とし、米空母は日本海での演習に参加する・・・という形で決着する模様です。

****日本海黄海で米韓軍事演習へ 沈没事件の対抗措置*****
国防総省のモレル報道官は14日の会見で、韓国哨戒艦沈没事件を受けた米韓の新たな合同軍事演習を、近く日本海黄海で実施すると発表した。日時や参加部隊などの詳細は、21日にソウルで初めて開く米韓の外務・防衛担当4閣僚(2プラス2)会合後に発表する。
米韓両政府によれば、7月末に日本海で新たな演習を実施。その後、8月に米軍主導で実施する米韓合同演習「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」や対潜水艦合同軍事演習を黄海日本海など、朝鮮半島周辺海域で行う。日本海での米韓軍事演習はこれまでも行われている。
韓国政府高官によれば、中国が参加に強い警戒感を示していた米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンは、韓国側が希望した黄海ではなく、日本海での演習に参加する。
モレル氏は「北朝鮮を抑止する明確なメッセージを送り、韓国を防衛する我々の確固たる責任を行動で示すものだ」と強調した。中国が黄海での演習に懸念を示してきたことについては「公海上での実施は我々が決めることだ」と指摘した。
ただ、今回、演習海域に日本海を加え、空母を日本海の演習に参加させるのは、黄海に特化した印象を薄め、演習の中止を求めていた中国の反発を和らげる狙いもあるとみられる。・・・・【7月15日 朝日】
******************************

【「沿岸海軍から大洋海軍へ」】
中国をこれ以上刺激することは避けつつ、米韓のメンツはたてつつ・・・という分散実施案ですが、やはり強まる中国の発言権が印象に残る結果となりました。
特に、中国海軍は最近その目覚ましい拡充ぶりが注目されており、2012年には空母の実戦配備も予定されています。

****中国初の空母、2012年に実戦配備か****
米太平洋軍のウィラード司令官(海軍大将)は先週、米下院軍事委員会に対し、「中国が2012年に初の空母を実戦配備し15年には国産の空母を進水させる」との見方を示した。
ウィラード司令官は、中国が1998年にウクライナから購入した空母「バリャーク」を修理、改造し、2012年に実戦配備するとともに、空母の基本技術を向上させるのに使うとみていることを明らかにした。(中略)

軍事専門家は、バリャークが2012年に実戦配備されるとの見方について、「中国は『大洋海軍』へと向かう重要な段階を踏んでいる」と評価した。ウィラード司令官は報告の中で、「中国人民解放軍は最近の数年間で領土防衛を超える役割や 任務を遂行し、新たな軍事的発展段階に入った。中国軍の現代化が彼らの言葉通りに「純粋な防衛目的」かどうかはさらに観察が必要だ」と強調した。
中国は昨年4月、海軍創設60周年を迎え、「沿岸海軍から脱却し、大洋海軍として生まれ変わろう」と強調。昨年10月の建国60周年に際しては、最新鋭の兵器数十種類を公開した。また、最近は空母建設計画を発表したのに加え、ソマリア海域に海軍を派遣し、インド洋、南シナ海での活動拡大を図っている。
バリャークは旧ソ連時代の空母で、全長302メートル、幅73メートル、満載排水量6万7500トン。乗組員1960人、航空要員626人が乗船でき、航空機52機を搭載可能だ。中国は1998年に同艦をマカオ経由でウクライナ造船所から2000万ドル(約18億8000万円)で購入した。【4月2日 朝鮮日報
****************************

4月に中国海軍の艦隊が沖縄本島宮古島の間を通過して大規模演習を太平洋で行い、艦載ヘリが2度、監視中の日本海自艦船の約90メートル近くまで接近した件は、日本でも話題になりました。
「沿岸海軍から脱却し、大洋海軍として生まれ変わろう」という中国海軍の成長を見せつけるものでもありました。

南シナ海は「核心的利益」】
中国にとって海軍力は軍事的要請に加え、経済上の要請もあると言われています。
“海軍力増強を推し進める車輪のひとつが軍事的な要請だとすれば、もうひとつが経済上の要請である。
海洋の豊富な天然資源や漁業資源を獲得し、原油など海外の資源エネルギーや自国産製品を輸送する海上交通路を確保することは、中国が高度成長軌道をひた走ればひた走るほど、死活的重要性を帯びてきた。
例えば、中国が一方的に主張する管轄海域約300万平方キロの半分までが、東南アジア諸国や日本などと領有権を争う海域であり、中国は海軍力が脆弱(せいじゃく)なころには半ば放置していたこの海域でも、声高に領有権を主張し出し、周辺諸国とのトラブルを増やしている。”【5月22日 産経】

****中国、南シナ海は「核心的利益」 米に表明、権益獲得へ****
中国政府が3月、軍事・通商上の要衝で、アジア各国による係争地域を抱える南シナ海について、中国の領土保全にかかわる「核心的利益」に属するとの新方針を米政府に初めて正式表明していたことが3日、分かった。中国はこれまで台湾やチベット、新疆ウイグル自治区などを「核心的利益」と位置付けてきた。新たに南シナ海を加えたことで、同海域の海洋権益獲得を強硬に推し進める国家意思を明確に示した。【7月3日 共同】
**************************

日本との間では東シナ海ガス田共同開発問題がありますが、中国は海軍力増強を背景に石油・ガスの資源が眠っていると言われる南シナ海への圧力を強めています。
約100の島々からなる南沙諸島については、中国・台湾・ベトナム・フィリピン・マレーシア・ブルネイの6カ国が領有権を主張して争っています。
西沙諸島を争うのは中国とベトナムで、74年と88年には軍事衝突を起こしています。

今後、「核心的利益」と位置付けた南シナ海へ、中国海軍が空母を備えた外洋艦隊として進出してくることが予想されますが、そのことはベトナムなど周辺国のナショナリズムを刺激し、軍事力強化へと向かわせることともなります。
日本の防衛の在り方も再検討を迫られるのではないでしょうか。

【中国を牽制するアメリカ】
一方、中国の台頭を牽制するアメリカの動きとして、次のような記事がありました。
****中国に警告か 米ミサイル潜水艦3隻同時出現*****
米国海軍の巡航ミサイル搭載の新鋭原子力潜水艦3隻がアジアからインド洋にかけて初めて同時に出現し、中国を抑止する構えをとったことが12日までに明らかにされた。最近、増強の顕著な中国海軍への警告も込められているという。
12日発売の米誌タイム最新号によると、米海軍の潜水艦では最大のオハイオ級改良型「USSオハイオ」が6月28日にフィリピンのスービック湾に浮上。同型の「USSミシガン」も同日、韓国の釜山に寄港した。さらに「USSフロリダ」もこの日、インド洋ディエゴガルシアの米英合同海軍基地に浮上した。(中略)

タイム誌によると、米海軍は欧州方面での緊張緩和に伴い、オハイオ級改良型潜水艦などの戦力配備の比重をアジアに移し、特に中国海軍のアジア太平洋からインド洋での増強に注視、3隻のSSGNを同時に中国の近海域に浮上させることは前例がないという。
報道はこの巡航ミサイル搭載潜水艦の動きを「中国周辺での米軍ミサイル配備が(中国への)メッセージ発信」と評し、ワシントンの戦略国際研究センター(CSIS)中国専門家のグレーサー研究員の「米軍は太平洋の部隊を増強する決定を下しており、その動きを中国がまず注意することは疑いがない」というコメントを紹介し、潜水艦3隻の同時登場が中国への抑止効果を狙ったことを伝えている。
中国側では在米中国大使館報道官が「この米軍の動きは地域の平和、安定のためであり、それに反する目的ではないことを望む」と論評したという。【7月13日 産経】
*****************************

日本周辺を含んだ東アジア・東南アジアの海では、台頭する中国海軍、牽制するアメリカの引き起こす大きな波が立ち騒ぎそうです。