
(中国内モンゴルHulun Buirの風力発電プラント “flickr”より By Tianzhan
http://www.flickr.com/photos/tianzhan/3899918605/ )
【111年ぶりの大雪に勢いづく保守派】
将来のリスクに対する意識・備えというのは、現時点で確実とは言い難いだけに難しいものがあります。
温暖化対策・再生可能エネルギーへの取り組みもそういう範疇にあります。
温暖化や化石燃料枯渇は、ある人にとっては“確実”なことかもしれませんが、懐疑の念が消えない人も存在します。また、現時点の利便をどの程度犠牲にして将来に備えるかという点でも判断が分かれます。
暑い日が続けば「やはり、これは温暖化のせいだろう・・・」と思い、寒い日が続けば「温暖化は本当なの?」と思う・・・自分を含めて多くの人はそういったところではないでしょうか。
大雪が続き、111年ぶりに積雪記録を更新し、首都機能がまひしたアメリカ・ワシントンでも同様です。
もともと、アメリカでは温暖化に懐疑的な世論が増加している傾向がありましたが、この記録的な大雪で、二酸化炭素など温室効果ガスによる気候変動説に懐疑的な議員らが、温暖化対策法案を廃止に追い込む好機と見て攻撃を強めているそうです。
オバマ大統領の就任以来、米政府の温暖化対策は劇的な変化を遂げ、下院は前年6月、全国的な温暖化ガス排出量規制案を採択しました。しかし、1月のマサチューセッツ州の上院補選で共和党候補が勝利、同法案が上院を通る前に、民主党は上院における安定議席を失ってしまった経緯があります。
保守的な共和党議員らが口々に「温暖化対策推進派」の指導者らを批判しており、特に槍玉に上がったのは、地球温暖化に警鐘を鳴らしたアル・ゴア元米副大統領だそうです。
“「アル・ゴアが『降参だ』というまでワシントンに雪を降らし続けてやる」――。サウスカロライナ州選出のジム・デミント上院議員(共和党)は、ツイッターにこう書き込んだ。・・・・” 【2月12日 AFPより】
一方、環境保護派はすぐさま反撃を開始。冬季五輪開催地バンクーバーが異例の雪不足に悩まされている問題を引き合いに出し、これこそ異常気象の証拠だとして、大雪の原因を「誤解」するなと警告を発したとも。
【嗤うプーチン首相】
ところ変わってロシア。
ロシア経済は石油・天然ガスという化石燃料の輸出に大きく依存していますが、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの研究が世界的に進められている現況に対して・・・。
****「乾かした糞」恐るるに足らず、プーチン首相*****
ロシアのウラジーミル・プーチン首相は10日、バルト海の環境汚染問題を話し合う首脳会議のため訪れたフィンランドのヘルシンキで記者団に対し、「乾かした糞」などの代替エネルギーが化石燃料に置き換わることなど今後数十年はあり得ないと語った。
「残念ながら――幸運にも、と言うべきかもしれないが――太陽エネルギーや木質燃料、乾かした糞が今後15年ないし20年で炭化水素に置き換わることなどない」(後略)【2月14日 AFP】
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【独自のエネルギー戦略を進める欧州】
ロシアにとっては“幸運にも”というところですが、自然エネルギーへの転換を精力的に推し進めているのがヨーロッパ諸国。この分野で世界をリードしようという長期戦略もあってのことでしょうが。
****EU:09年新設発電所 容量で風力発電が2年連続1位*****
欧州連合(EU)で09年に新設された発電所の発電容量で、風力発電が2年連続で1位を占めた。欧州風力発電協会(EWEA)が発表した。地球温暖化問題への意識の高まりを背景に、太陽光や水力、バイオマスなどを含めた再生可能エネルギーへの投資も加速、全体の61%を占めた。
EWEAによると、09年にEU内で設置された風力発電は1万163メガワットで、前年比23%増。新設された発電容量の約4割を占めた。2位の天然ガス発電は4%減の6630メガワットだった。既存の施設を含めた総発電容量に占める風力発電の割合は9.1%となった。
風力発電所の新設はEU全域で進み、洋上風力が前年比56%増と急増したのが目立った。一方、石炭、原子力は、閉鎖による廃棄容量が新設容量を上回った。
国別の新設量は、スペインが2459メガワットで1位、続いて、ドイツ(1917メガワット)、イタリア(1114メガワット)の順。既存の施設も含めると、ドイツが2万5777メガワットで1位、スペインが1万9149メガワットで2位、イタリアは4850メガワットで3位だった。【2月13日 毎日】
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風力発電に意欲的なスペインですが、スペイン南部・アンダルシア地方は、「欧州のフライパン」と称されるほど日差しが強く、太陽熱発電にも大掛かりに取り組んでいます。
【サハラから北海まで】
また、欧州各国間で再生可能エネルギーのシステムづくりも進んでいます。
****再生エネルギー網設置へ=北海周辺9カ国、安定供給目指す-独紙*****
5日付の南ドイツ新聞によると、英仏独など北海周辺の9カ国が再生可能エネルギーの供給安定化に向け、各国の同エネルギー発電施設を高電圧ケーブルで結ぶ方針で一致した。
同紙によると、参加するのは3国のほか、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、デンマーク、ノルウェー、アイルランド。計画では、英国沖とドイツ沖の風力発電施設、ノルウェーの水力発電施設、ベルギーやデンマーク沿岸の潮力発電施設、欧州大陸の風力発電施設や太陽光発電施設を海底ケーブルでつなぐ。
総事業費は300億ユーロ(約4兆円)に達する見込み。10年以内に完成の予定で、9カ国は今秋までに計画を具体化させる。【1月6日 時事】
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昨年7月19日ブログ「サハラ太陽熱発電計画「DESERTEC」とオバマ「ガーナ演説」」
(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090719)でも取り上げたように、北アフリカを含む地中海周辺諸国とEUが参加する地中海連合が、サハラ砂漠および中東に巨大太陽光発電機を設置し、この電力を高電圧送電網で欧州に供給しようという壮大なエネルギー供給計画「DESERTEC(デザーテック)」の話もあります。
もし、これが実現すれば、上記北海周辺エネルギーシステムとリンクすることになるのでしょう。サハラ砂漠から北海周辺をカバーする一大再生可能エネルギーシステムになります。
【中国 目標を上回るハイペース】
中国も再生可能エネルギーには力をいれており、風力発電はその柱となっています。
2006-2008年において、中国の風力発電の総発電能力は年間平均113%のペースで増加しており、2008年末は12.21ギガワット、世界の風力発電能力の約10%を占めています。2010年、2020年までにそれぞれ、10ギガワット、30ギガワットに設定していますが、現在の状況から目標を遥かに上回るペースで進むと予想されており、中国資源総合利用協会再生可能資源専門委員会の見込みによると、2020年における中国風力発電の発電能力は120ギガワットになるとも言われています。
中国では、発電能力が5ギガワット以上の電力会社に対しては、企業全体の発電能力における割合として非水力再生可能エネルギー発電設備の発電能力を2010年までに3%以上、2020年までに8%以上にする、という国家強制設備導入基準を設定し、電力価格や租税対策で誘導しています。(09年8月21日 QUICK Money Life より)
温暖化対策に積極姿勢を目指すオバマ大統領、旗振り役のゴア前副大統領、それをあざ笑う共和党保守派、化石燃料に自信を見せるプーチン首相、自然エネルギーへの取り組みを大胆にすすめる欧州各国、国家戦略として驚異的なペースで取り組む中国・・・最後に笑うのは誰か。
【失われ続ける日本】
それにつけても、日本は何をしているのか・・・。世界の動きを眺めていると、ちょっと焦燥感を感じます。
問題が山積するなかで、いつまでも首相の政治資金問題だけにのめり込んでおらず、もっと明日に向けた政策的議論をして、実際の行動につなげてもらいたいものです。
“失われた10年”の後も、エネルギー問題にかぎらず、すべての問題でなんら建設的な議論・行動がなされていない、失われたままの状態のように見えるのは自国に対する厳しすぎる見方でしょうか。
この国には明日はないのか・・・という暗澹たる気分にもなります。