
(スリランカ、早朝、地雷のチェック作業を行う兵士 “flickr”より By stefb
http://www.flickr.com/photos/82659643@N00/295119482/)
昨日、日本の国際社会との関わり方、いわゆる国際貢献のあり方に関する三つの記事を目にしました。
直接的な軍事行動については自ら制約を課している日本ですが、紛争に苦しむ多くの国々との単なる資金援助を超えた連携が求められているなか、今後力を入れていくべき方向を考えるとき参考になるものもあるかも。
【アフガニスタン PRT】
一つ目は、アフガニスタンにおける「地方復興チーム」(PRT)への参加のニュース。
PRTは、軍と文民が協力して地域復興にあたる枠組みです。
地域ごとに拠点を設け、軍が治安維持や警察支援などを担い、文民が教育や保健分野の復興支援に当たります。
アフガニスタンでは米英独など14カ国が26カ所で活動しています。
ただ、PRTについては、現地で活動しているNGO団体からは、「軍と無関係ということで住民の信頼を得ている。結局軍の支援活動であるPRTが行われると、NGO活動も軍の“ひもつき”と見られ、反政府勢力側からの妨害など、NGO活動ができなくなってしまう。」との批判もあります。
また、その実態についても、住民の立場にたった活動というより、バラマキ的な宣伝活動にすぎないことが多いとの批判もあります。
また、アフガニスタンではたとえPRTの文民活動とは言え、相当の危険が伴うとも思われます。
なお、今回の日本のPRT参加は“文民要員4人”という、ごく限られた形のもののようです。
****アフガニスタン:日本の政府職員を地方復興チームに派遣へ*****
北大西洋条約機構(NATO)加盟国がアフガニスタン各地で展開する軍民一体の「地方復興チーム」(PRT)に参加するため、日本政府の文民要員4人が近く中西部・チャグチャランに派遣される。現地では国際協力機構(JICA)の職員らが技術協力をしているが、政府職員の派遣は初めて。自衛隊派遣の見通しが立たない中、アフガン政策について、オバマ米政権が軍事だけでなく民生支援も重視する方向に転換したのを受け、文民派遣で米国を後押しする狙いがある。
昨年秋、日本はチャグチャランでPRTを展開するリトアニア軍から文民派遣を要請された。外務省は今春、「治安が比較的安定しており、実績を積みたい」と同省職員の派遣を決めた。4人は6月上旬までに順次現地入りし、教育やインフラの整備に取り組む。
日本とPRTの接点は07年1月にさかのぼる。安倍晋三首相(当時)がNATO本部を訪ね、自衛隊派遣を念頭にPRTとの連携を表明。自衛隊派遣こそ断念したものの、現在、首都カブールのNATO文民代表部に連絡調整員を配置し、7カ国が11カ所で展開するPRTに資金を拠出している。
インド洋での給油支援活動や元兵士の武装解除(DDR)など、日本はアフガン問題で米国を後方支援してきた。PRTへの派遣も、新戦略への国際協調を望むオバマ大統領の呼びかけに応えた格好だ。現地情勢に詳しい自民党の松浪健四郎外交部会長は「これまで支援が行き渡らなかった地域への貢献の第一歩」と評価する。
日本の文民支援に政府職員が加わることで、情勢に変化が生じる可能性もある。現地の対米感情は悪化しており、軍民一体のPRTは、アフガン旧支配勢力のタリバンによる攻撃の口実となりかねない。元外交官で民主党の山口壮「次の内閣」副防衛相は「米国追随ではなく『対話』を促すなど、米国ができない方策を示すことが日本の役割」と指摘する。【5月24日 毎日】
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【PKO訓練への講師派遣】
二つ目は、アフリカ連合向けのPKO訓練への講師派遣のニュース。
****PKO訓練:カイロで始まる AU向けに日本などが実施****
アフリカ連合(AU)向けに日本や国連などが行う平和維持活動(PKO)訓練が24日、カイロで始まった。アフリカ16カ国の軍幹部や文官ら25人が参加、約2週間に渡り、シナリオ演習などで実務的なPKO活動のノウハウを学ぶ。
日本が国連、AUと共同でこの種の訓練を行うのは初めて。独自の紛争対処能力を高めたいAUの要請に応えた。日本からは、元東ティモール国連事務総長特別代表の長谷川祐弘・法政大教授と、榊枝宗男陸将補が講師を務める。
長谷川教授は「多様化するPKOに必要な包括的対処への理解を深めてもらうのが目的」と述べ、榊枝陸将補は「発砲せず負傷者も出さない日本のPKO活動の知見を紹介したい」と語った。【5月24日 毎日】
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“発砲せず負傷者も出さない日本のPKO活動”に関するノウハウがあるのであれば、是非活用してもらいたいものでが、正直なところ、“講師を勤められるほど日本はPKO実績があるのだろうか?”という素朴な疑問も感じました。
“発砲を必要とするような事態になったときどう対応するのか?”・・・PKO活動について必ずしも日本国内の世論がまとまっていない状態ですが、日本人自身が意識しないうちに、講師を勤められるほどの実績が積まれているとしたら、それはまた別の問題になるようにも思えます。
こうした訓練に参加する者は、やがて各国の指導層になるエリートでしょうから、そうした者との人的つながりをつくることは意味のあることでしょう。
武力行使に関する日本の考え方の理解にもつながるかも。
【スリランカ 地雷除去】
三つ目は、内戦の終結したスリランカにおける地雷除去に関するニュース。
****スリランカ、地雷除去協力で日本に期待 潘国連事務総長*****
スリランカを訪問した国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は24日、移動の機中で朝日新聞の単独会見に応じた。30万人近い国内避難民の帰還に向け、旧戦闘地域での地雷除去が急務だとして、スリランカの主要援助国である日本の協力に期待を示した。
潘氏は、地雷の早期除去について、国連による早急な支援に意欲を示すとともに、この分野で経験のある「日本など主要国」の積極的な参加を求めた。スリランカの人道状況の改善に向けた日本の外交努力が足りない、という国際人権団体などからの批判については「明らかな誤解だ」と否定。明石康・日本政府代表の仲介努力を評価した上で、「日本からは数々の有益な助言をもらった。感謝している」と述べた。(後略)【5月24日 朝日】
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これは比較的馴染みやすい活動に思われます。
カンボジアなどにおける民間の地雷除去活動を見聞きすることもありますが、なぜ日本政府が率先して、より大規模に行わないのかという疑問を感じていました。
また、その作業についても、もっと安全で効率的な方法はないのだろうか?とも思います。
政府主導で大規模・効率的な地雷除去作業にあたる・・・というのは、現地のニーズに応える、また、感謝される活動ではないでしょうか?