lonelylika’s diary

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ

ネパール  毛派を除いた新連立政権合意 毛派の対応は?


(一昨日17日のカトマンズでの毛派による街頭行動の様子 
flickr”より By izahorsky
http://www.flickr.com/photos/ingmar/3538740506/)

【毛派兵士の国軍編入問題】
ネパールの政治混乱は5月4日ブログ「ネパール 毛派と国軍が対立 高まる緊張」でも取り上げたところです。
(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20090504)
直接には、和平合意に伴い、約1万9千人の毛派軍兵士を国軍に編入するかどうかという懸案事項をめぐる毛派と国軍の対立です。

毛派兵士の編入を拒否する陸軍参謀長を毛派ダハル(通称プラチャンダ)首相が解任しようとしましたが、連立政権の他の与党がいっせいに反発。ヤダブ大統領も陸軍参謀長解任を取り消しました。
和平合意し、選挙で思いがけず毛派第1党になって組閣したとは言え、これまで武装闘争を行ってきた毛派に対する他政党の警戒感は根深いものがあります。

今度はこの解任取消しに毛派が反発。ダハル首相が辞任する形で、大統領・他政党に圧力をかけていましたが、一応、毛派抜きの新たな連立政権が決まったようです。

****ネパール:首相候補にマダブ・ネパール氏 新連立政権合意****
ネパール共産党毛沢東主義派(毛派)の連立政権崩壊を受け、毛派などを除く23の政党は17日、新たな連立政権を作ることで合意し、第3党の「ネパール共産党マルクス・レーニン主義派」(UML)のマダブ・ネパール上級幹部(55)を首相候補に決めた。近く大統領が任命し、正式就任する。
毛派のプラチャンダ首相(当時)が3日、毛派民兵組織の国軍編入を拒否した陸軍参謀長を解任し、ほかの政治勢力の反発を受けて4日に辞任。以後、政治空白が続いたネパールはようやく正常に戻る見通し。

毛派は国会議席の4割を占める巨大野党になる。すでに連日のように毛派支持者らが「反政府デモ」を続けており、1年後の新憲法制定を巡っても激しい攻防が予想される。
23党は当初、第2党「ネパール会議派」総裁のコイララ元首相を指名する方向で調整していたが、コイララ氏がネパール氏を指名した。【5月17日 毎日】
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別の記事によるとネパール議会は毛派を含めて24政党とのことですので、“毛派などを除く23の政党”というのは文字通り“毛派以外の全ての政党による大連立”になります。
毛派は、これに対し議会審議妨害・大統領の指示撤回を求める動議提出の方針で臨むようです。

****ネパール・毛派、議会審議妨害継続の方針******
大統領や国軍との対立の末に政権崩壊に追い込まれたネパール共産党毛沢東主義派(毛派)は18日、カトマンズで幹部会議を開き、前政権による陸軍参謀長の解任決定を覆した大統領の指示が撤回されない限り、引き続き議会審議を妨害する方針を決めた。毛派議員は同日、議場内で大声を出すなどして進行を妨げたため、議会を開くことができなかった。
また、毛派は議会再開の条件として大統領の指示問題を議会の場で決着することを新たに求めていくことも決定。毛派幹部によると、毛派内では大統領の指示撤回を求める動議を議会に提出することなどが検討されているという。【5月19日 朝日】
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【内戦再開の懸念も】
“議場内で大声を出すなどして進行を妨げた”程度ですめば何の問題もありませんが、みなが懸念しているのは、毛派が再び武装闘争に戻り、内戦が再発するのでは・・・という不安です。

現在の状況はわかりませんが、首相辞当時の状況について、“圧倒的な動員力を誇る毛派の抗議活動は過激さで知られる。06年まで続いた武力闘争の末期には、首都カトマンズを約10日間にわたり封鎖し、マヒ状態に陥れたこともある。カトマンズではすでに野党系のデモ隊を毛派のデモ隊が数で圧倒。一部では負傷者も出ている。”【5月4日 朝日】とも報じられていました。

上記記事は次のように続けています。
“毛派が孤立を深めた場合、懸念されるのは国内28カ所の駐屯地にとどまる毛派軍部隊の動向だ。06年の和平協定に従い、すべての武器は国連が監視するコンテナの中に収められているが、国連要員は非武装で、鍵は毛派側が持っているとされる。一部の師団長は、地元ラジオの取材に対し「国軍の動き次第では、駐屯地を出る」と述べるなど、不穏な空気が広がっている。”

“鍵は毛派側が持っているとされる”ということですから、毛派はいつでも再武装が可能です。
内戦が一応“終結”したスリランカでは、LTTEと政府との間の02年の和平合意以来、和平機運の広がりに武装組織としての存続を危ぶんだプラバカラン議長を中心とする勢力が組織内を粛清し、独裁体制を強め政府との対立が激化しきました。

武装組織の兵士、これまで戦うことしか知らずに生きてきた兵士をどのように社会復帰させるかは、和平を根付かせる鍵です。
明治維新のときの武士の処遇も、同じような問題でしょう。)
組織の側には、LTTEのような“武装組織としての存続”に固執する考え、闘いを放棄すれば自らの存在意義がなくなるという考えもありますので、元兵士の処遇を誤ると内戦へと逆戻りしかねません。

ネパールのような社会では、軍以外に元兵士に大量の仕事を提供できる場もないように思えます。
軍には、毛派兵士を受け入れると軍が毛派に乗っ取られるという懸念があるのでしょうが、現実的な妥協の途を模索して、内戦再開という愚を犯さないように願いたいものです。

【巨大野党となる毛派】
毛派も正直なところ、議会制民主主義を土台にして国政を担当する準備はできていなかったのではないでしょうか。
野党の立場になったこの機に、議会内政党としてのあり方を精度検討することができれば、将来に繋がる道も開けるのではないでしょうか。

一旦和平に身を置いた毛派もそう簡単には“再度武装闘争へ”ともならないのかもしれませんが、現実問題としては、毛派は全議席の4割近い230議席を有する強大な野党になります。
憲法案の承認には3分の2以上の賛成が必要なため、毛派の動向次第で、制憲プロセスに遅れが出ることが懸念されています。