周知のとおり、原油価格高騰で産油国には膨大な資金が流れ込んでいます。
*****湾岸アラブ地域で総額2兆ドルの事業が進行中********
中東経済専門誌「ミドルイースト・エコノミック・ダイジェスト」(MEED)によると、湾岸アラブ地域で現在、総額2兆ドルに上るプロジェクトが発表または着工されている。
サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールやその他石油輸出国3カ国の経済は、2002年以降、原油価格の上昇によりそれまでの5倍のペースで成長しており、これら諸国は石油関連収入で、インフラから電力まであらゆる部門の開発に投資している。
また、全プロジェクトの37%はUAEが占めているという。【3月30日 ロイター】
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アラブ産油国でもひときわ目立つのがUAE。
UAEのドバイに年末、世界最大級のショッピングモール「ドバイモール」がオープンします。
「ドバイモール」は、面積110万平方メートル、1200の店舗、室内水族館、五輪規格のスケートリンクなどが含まれるもので、建設中の超高層ビル「ブルジュ・ドバイ」などを含む数十億ドル規模の開発計画の一部です。
その現在建設中の超高層ビル「ブルジュ・ドバイ」が先日「世界で最も高い人工建造物になった」との発表がありました。
「ブルジュ・ドバイ」の高さは現在629メートルで、1963年から世界一の高さを誇ってきたアメリカのKVLY-TV塔(628.8メートル)を追い越したそうです。【4月8日 AFP】
最終的に何mになるのかは秘密にされています。
まあ、どうでもいいですが。
ドバイには、8年ほど前になりますが、飛行機のエンジントラブルで急遽1泊したことがあります。
そのときのイメージでは砂漠の中にお金をかけてつくった人工的な都市という感じで、正直なところ殆ど魅力もなにも感じませんでした。
やたらと暑かったせもありますが。
しかし、最近ではドバイでは毎年ショッピングフェスティバルが開かれ、大人気となっているようです。
毎年数百万人の観光客が訪れ、ドバイも“世界のレジャーと経済のハブ”と自らを位置付けて、石油枯渇後に備えて設備投資しています。
「親米国家」とされるUAEですが、最大の貿易相手国は、米国が敵視するイランだそうです。
昨年の両国間の貿易総額は120億ドル(約1兆2000億円)。
*****イラン、高まる存在感*******
イラク戦争開戦から5年。中東におけるイスラム教シーア派国家イランの影響力拡大と、米国の威信低下に歩調を合わせ、ペルシャ湾岸アラブ諸国がイランに接近する動きが活発化している。
イランにとってイラク戦争は「一滴も血を流さずに得た安全保障上の大勝利」(イラン改革派記者)だった。アフガニスタンのタリバン政権追放に続くイラクのフセイン政権崩壊で、イランは東西の宿敵から解放された。
この間、米国はアフガンとイラクの泥沼に足をすくわれ、アラブ諸国で対米不信感が高まった。情勢変化に敏感に反応したのが、UAEなど6カ国で構成する湾岸協力会議(GCC)だ。
スンニ派が支配するGCCは79年のイラン・イスラム革命を機に「革命の輸出」を公言するイランへの対抗上、結成された。だが、昨年12月にはイランのアフマディネジャド大統領をドーハでの首脳会議に招待し、戦略転換を印象付けた。【3月19日 毎日】
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アメリカの“テロとの戦争”の結果、存在感を高めるイラン。
一方、原油高の好景気に沸く湾岸諸国にとって、経済成長の持続には地域情勢の安定が不可欠です。
最悪のシナリオは核問題がこじれ、米国の対イラン軍事行動が現実となって地域が混乱する事態です。
サルコジ仏大統領は今年1月、UAE訪問に際し、ペルシャ湾岸で初となるフランス軍基地を同国の首都アブダビに建設すると発表しました。
この地におけるフランス軍の存在が、アメリカ軍の対イラン戦争を抑止する効果も生むことを念頭に置いた措置との指摘もあります。
アラブ世界全般を眺めると、イラクやパレスチナなど紛争下にある国々や“オイルマネーを持たざる国”では、大勢の人々が苦しい生活を強いられている訳ですが、特に最近の食料品価格高騰によって更に厳しい情勢になっています。
政策当局は燃料や食料などへの助成金の財政コストと、社会的不満の爆発といった政治的リスクをてんびんにかけた難しい舵取りを強いられています。
1400万人以上が1日1ドル以下で生活するエジプトでは、主に食品の価格上昇を背景に、2月のインフレ率が12.1%と11カ月ぶりの高水準に達しました。
エジプト政府は、国内のコメの価格を抑えることを目的に、2008年4─10月のコメの輸出禁止を決定。
しかし、地方議会選挙と重なったことあって、パンや油など生活必需品の価格高騰への国民の不満が爆発。
北部マハッラ・エルコブラで7日、住民約7000人がムバラク大統領の肖像画を踏みつけるなど反政府抗議行動を行い、警官隊が催涙ガスなどで鎮圧する事態も出る中での投票となりました。【4月8日 読売】
一方、湾岸アラブ諸国でも景気過熱が物価上昇を招いており、また、多くが米ドル・ペッグ制を採用しているため、米ドル安に連れて自国通貨が下落し、輸入価格が上昇することで一段とインフレが高進するという構図にもなっています。
このため、UAEやバーレーンでは、物価上昇と米ドルの購買力低下を背景に、出稼ぎ労働者らによる暴動や抗議行動が発生しています。
「UAEの首都アブダビで2日から9日間の日程で開催されているラクダのビューティーコンテストで、ドバイ首長国の皇太子が雌のラクダを272万ドル(約2億8000万円)で購入したことが分かった。これはコンテスト史上最高額。皇太子はこの雌のラクダを含む、総額1650万ディルハム(約4億6000万円)のラクダを購入したという。」【4月8日 AFP】なんてニュースもありましたが、なんだかお金の使い道が違うんじゃないか・・・と思ってしまいます。